2023年8月26日にLRTが開業した宇都宮。最新の公共交通機関で賑わう一方、宇都宮では今や懐かしい年代のバスが現役で働いているというウワサを耳にした。
文・写真:中山修一
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■出たとこ勝負でバスを見に行く
鉄道では、どの車種が何時何分にどこの路線に入るのか、のような細かい運用情報を事前に調べてから行くのも手段の一つであるが、鉄道よりも遥かに情報が少ないバスの場合そうスンナリ行かない。
結局のところ、現地へ赴きバスが沢山来そうな場所で張り込みでもしておくのが前向きな方法。なかなかギャンブルながらも、「コレ!!」な1台に出会えた時の驚きと喜びは一層大きいものになるハズだ。
特に何も考えないまま、2023年8月26日のLRT開業日に宇都宮へと足を運んだ。到着早々、LRT開業のセレモニーで賑わう駅東口の反対側にある、宇都宮駅西口バスターミナルを観察してみることにした。
■柿の種テールの“あのクルマ”が!!
11時頃から駅前バスウォッチを始めて10分も経たず、古い時代の汎用テールランプ(通称:柿の種)を後ろに備えた、何やらネオレトロな外観の大型路線車が、バスターミナル入口近くにチラリと見えた。
ターミナル内に入りバスが顔を顕にすると一目瞭然。角目4灯ヘッドライトに大きな一枚フロントガラス、その両脇にハメ込んだ五角形のサイドガラスが特徴の、いすゞキュービックだ。
1980〜1990年代にかけて一世を風靡、バス車両を判別する上で至極一般的な「型式」で表すのはもとより、「キュービック」のようなペットネームで呼ばれる機会が、他の車種より多かったのも当時としては斬新だった。
宇都宮現地で最初にやってきたキュービックは、宇都宮市内に路線網を広げる、関東自動車が保有している1台だ。
前述の懐かしい柿の種テールに加え、後輪の後ろに折戸のドアがある前後扉車の仕様。車両の年式で言うと1994年式になり、もうすぐ30年ランナーを迎える。
車両の素性を後日さらに少し掘り下げてみると、元々付いていた巻き上げ式の方向幕が、2010年代後半にオレンジ色のLED行先表示に交換されていると分かった。
ホイールベース4.7m、直列6気筒12,000ccクラスの大排気量エンジンを搭載。最近は結構珍しくなった、床面が高いツーステップ車であるのもポイントだ。