■やっぱりあった!! 横長じゃない席
では、全部のバスのリアシートは横長で決まりなのかと言えば、最近の車両でも高速車や貸切車の中には、横長配置ではない例外的な車両もある。
まず、最後部の中央に非常口が付いているタイプの車両だ。この場合、後ろをシートで塞いでしまうと非常の際に最大のピンチを迎えるのが必然であり、導線確保のためドアと重なる箇所の座席が取り払ってある。
次に、後ろにトイレが付いている車両になると、車内後端の左半分を個室のスペースに持っていかれる関係で、物理的に横長配置ができなくなり、通常の2人掛けシートが最後部に取り付けられるパターンが多い。
車内後端をフルにトイレスペースに活用している高速車も、最近はメジャーになってきた。この場合、トイレの出入口と通路をつなげる必要があるため、最後部のシートは普通の2+2配列になる。
路線車でも、最後部横長シートの中央部分に幅広の肘掛けを置いて、5人掛けのところを4人掛けに減らしている車両をたまに見かける。
これは、最後部座席の中央は通路に直結していて掴むところがなく、急停車した際に前方へ転げ落ちる危険を避けるために、中央を潰して座れなくしていると思われる。
■消去法で導く横長のワケ
エンジンにまつわる技術的な事情があるでもなく、必要とあれば取り払う。最後部のシートが横長である理由を消去法で考えていくと、最後に残るのは「単純にスペースが空いているから」だ。
最後部がどん詰まりの構造なら、車内のフチまで通路を作ってもデッドスペースになる。バスは1人でも多く乗れたほうが良いわけで、空いているところを有効活用した結果が、あの横長シートなのだろう。
ちなみに、路線バスの最後部横長シートは一体型ではなく、座面が1+3+1の配置になっている。これは恐らく、1本につなげると座席を取り外した際に、座面が長すぎて外に出すのが大変になるから……と思われる。
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