通勤電車には当たり前すぎる「つり革」はバスも同じく……なのか?

通勤電車には当たり前すぎる「つり革」はバスも同じく……なのか?

 公共交通機関で、あまりにも実用本意すぎて、普段は空気のように扱いがちな設備といえば父時用を走る公共交通ならではの安全装備、「つり革」かもしれない。

文・写真:中山修一
(詳細写真ギャラリーを含む写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBでご覧ください)

■100%標準装備なの?

昔ながらの円形のつり革が並ぶ
昔ながらの円形のつり革が並ぶ

 つり革が付いている乗り物の筆頭格は言わずもがな通勤電車であるが、確かバスの車内にも同じ設備があったはずだ。

 バスのつり革を凝視して観察するような経験はあまりなく、非常にうろ覚えなイメージで、もはや有無すらハッキリしないのが実情と言える。

 それなら写真を見返してみれば、有無のところだけは一目で解決する。路線バスの車内の写真を掘り出し見てみると、なんてことはない、ちゃんとつり革が付いていた。

 バスにもつり革が付いているところまで分かると、沸々と気になり出すのが、つり革はどのバスにも付いている設備なのか、という点だ。

 観光バスや高速バスの車両はともかくとして、立って乗る場合のあるバスには十中八九標準装備な気がする。

 つり革付きの条件が立席だとすると、まずワゴン車タイプの車両とマイクロバスは、路線バス仕様でも全員着席が前提のため、つり革を付けたところでタダの飾りになってしまう。

 ワゴン車やマイクロバスの車内を何種類か観察した結果、やはり立っている時に使うつり革が付いている車両はまず無いと考えて良さそうだ。

■「路線車」のみが対象か?

 そうなると、一般路線バスに使われる小型・中型・大型の「路線車」が、つり革を取り付ける対象のバス車両に絞られる。

 引き続き、全国各地の路線バスの車内設備を写真などで見ていくと、最近の車両は車内の前半分、後方よりも床面が1〜2段低くなっているエリアに、つり革を並べてブラ下げるのが標準的なスタイルだと分かる。

 つり革が何本付いているかは、車内のシート配置や通路の幅によって増減があり、同じ大型路線車でも片側8本だったり両側16本だったりと、車両ごとにまちまちだ。

 順次写真を見比べ、小型でも大型でも、路線車ならつり革付きで決まり……そう断定しかけた直後、つり革がどこにも写っていない大型路線車の車内の写真が出てきた。

 静岡県のバス事業者が現在も使っている、2003年式の三菱ふそう製エアロスターのワンステップ車がそれにあたる。

握り棒のみで、つり革が一つも付いていない
握り棒のみで、つり革が一つも付いていない

 該当車両の場合、車内前半の床面が低いエリアのシートが両側とも2人がけになっており、通路が狭いことから、スペースの都合でつり革を取り付けていないと見られる。

 ほかにも、小型バスの代表車種である、日野ポンチョのカタログを開くと、「吊革はオプション」の注釈があった。ポンチョの場合、むしろ無い方が基本ということになる。

 また、1990年代の始め頃に作られたツーステップ車の一部に、ツーステップなら天井に手が届くほど床面が高くなるためか、つり革がなく握り棒で代用している車両も確認できた。

 車両の大中小に関係なく、つり革の有無はバス事業者によって様々で、さらに個々の車両ごとに違うようだ。

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