■黄金、最長、そして絶景!!
日勝線は“黄金の道”を走る……黄金たる所以、それは日勝線のメインルートである国道336号線の、えりも町庶野〜広尾町までの約33kmの区間に「黄金道路」の愛称が付けられているためだ。
この地域は海岸線に断崖が連なる地形の険しさから、道を作るにあたり難工事の連続で、できた道に黄金を敷き詰められるほど費用がかかったと評され「黄金道路」の名が付いたと言われている。
また、通行規制がない一般道のトンネルとしては日本一長い、延長4,941mの「えりも黄金トンネル」が2011年にでき、経路の一部に組み込まれて以降、日勝線は一般路線バスの中で“最長”のトンネルを通る記録ホルダーになっている。
5kmに迫るとなれば、一般路線バスならトンネルの中だけで、1つの路線が完結してしまうほどの距離に相当するが、トンネル内に停留所があるわけでもなく、交通量も少ないことから、日勝線はこの長大トンネルを約5分で通り抜ける。
近年は災害対策を兼ねて、トンネル経路への付け替えが行われている。とはいえ、海沿いを通る国道/道道をほぼ道なりに進むことから、景色の主体は断然「海」。
海岸線ギリギリに迫る箇所が幾つもあり、ため息が出るほど車窓からの景色が美しいバス路線の一つに数えられるのも、日勝線が放つ大きな魅力だ。
■旅情あふれるアクセス手段
様似発広尾行きの日勝線を利用すると、進行方向右側に広がる海を眺めつつ、2時間ほどで広尾バスターミナルに到着する。途中でのトイレ休憩はない。
運賃は2,450円で交通系ICカードが使える。条件を満たすと170円引かれる、乗り継ぎ割引制度もある。
ちなみに、2023年11月の日曜日に利用した際の状況を振り返ると、途中で短距離の区間乗車が1人あった以外は他に利用者はおらず、図らずも行程の大半が低料金のショーファードリブン、といったところだった。
JR日高線とその代替バス、日勝線、十勝バス広尾線を組み合わせると、苫小牧〜帯広間を海回りでアクセスできる。
内陸部を行くより遥かに時間(日数)がかかるのは致し方ないものの、景色の良さと体感できる旅情の深さは折り紙付きだ。
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