■“ごく普通”の路線バスに鞍替え!?
リクライニングシート付きの車、がバス転換の条件の一つだったと言われ、深名線には運行開始当初からハイデッカータイプの高速車が使われ、「都市間鈍行バス」然とした性質が強かった。
ところが2018年5月に大きな変化があり、2扉のごく一般的な路線車が運用に入るようになった。合わせて130kmほどの、一般路線バスとしては長距離を路線車で乗り通すのもユニークな体験になること請け合い。
予てから気になっていた手前、2024年5月にようやく機会を得て様子を見に行ったところ、当日やってきたのは以前から使われていた、1扉でリクライニングシートが付いたミドルデッカータイプの車両だった。
トイレが付いており、これはこれで相当珍しい仕様のクルマでもある。路線車/ミドルデッカー車合わせて運用に入っているようで、どれが来るかは当日までお楽しみ、と思っておくのが良さそうだ。ハイデッカー車はどうやら引退した模様。
■「日本一」を走る代替バス
幌加内町は「そば畑の面積」、「単一の人造湖の広さ」、「最低気温」の3項目で日本一の座をキープしており、深名線はそんな日本一の場所を通る公共交通手段という一面を持っている。
バスの本数がそれなりにあるため、幌加内まで蕎麦をたぐりに行ったり、夏場にはバスも立ち寄る朱鞠内湖を見に行ったり、あちこちに残っている駅舎跡や廃線モニュメントを観察しに行ったりと、バスでアクセスしながら幌加内町を巡る、という使い方(ちょっと工夫がいるけど)もできなくはない。
接続対応便を狙って深川〜名寄間を通しで乗る場合、運賃の支払い方が少々変わっている。運行系統が分断している幌加内バスターミナルで一旦下車する必要があり、その際に運転手さんに口頭で通し乗車する旨を伝え、終点で全額を支払う。
幌加内バスターミナルはちょうどトイレ休憩を兼ねており接続時間は10分。深川〜名寄間を合わせて3時間10分で結び、通し運賃は2024年5月時点で2,500円だった。
ちなみに「北海道フリーパス」のような、深名線にも乗れるJR線のフリーきっぷがあるほか、特定区間の運賃が無料になる特定日が設けられている。
前述の通り、人口希薄もしくは無人地帯を走る路線であり、車窓を流れる景色は大自然の色合い豊か。都会の喧騒を忘れてボ〜っと外を眺めながら、遠い旅路をしみじみと噛みしめるには最高の路線だったりする。
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