沖縄県・西表島。首都圏から約2,000km、沖縄本島からも400km以上離れた南の島だ。この西表島にも一般路線バスが走っている。果たして乗りバス目的でも成立するだろうか? 現地で確かめてみた。
文・写真:中山修一
乗車時期:2022年5月
行くまでがハードな場所
いつ・どうやって行くかだけで研究材料になってしまうのが西表島だ。島内に空港はなく、隣の石垣島からフェリーで渡るのがアクセス手段となる。
石垣島までは各地から直行便の飛行機が就航しているので、首都圏在住の場合なら自宅からの所要時間や予算・好みなどに応じて羽田か成田かを決めればOKだ。
具志堅用高の銅像が訪問者を迎える石垣港離島ターミナルから西表島へ向かうフェリーは、南寄りの大原港行きと北寄りの上原港行きの2航路がある。
「まず宿を取れ!」が西表島訪問の鉄則とのことで、予約先に近い方の港に到着する航路を選ぶのが自然であるが、石垣〜上原航路はシケで欠航しやすく、その際の対策も練っておくと安心だ。
取った宿の場所から当日は上原航路を利用することにした。幸い平常運行していたが、しこたま揺れた……。
イメージと違いすぎるバス路線
離島の路線バスなんだから、島内をマイクロバスがちょこちょこっと周回するだけでしょ? 予備知識ゼロの状態だと普通はそう考えるハズ。
ところが、西表島は思い込みに反してデカい。約289平方kmと、約1207平方kmの沖縄本島に次ぐ沖縄県第2位の面積だ。
西表島では最南端のバス事業者である西表島交通が路線バスを走らせている。
島の南寄りの豊原〜北西寄りの白浜を結ぶ1路線のみと路線数こそ少ないが、広いだけあって距離で見ると端から端まで約50km、停留所の数24、通し乗車で1時間40分かかる全国レベルの立派な中距離路線なのである。
豊原〜白浜間の便数は1日4往復。7時台〜17時台にかけて運行しており、うまく時刻を合わせれば観光スポットに立ち寄りつつ足代わりに利用できるダイヤ設定になっているようだ。各港でフェリーとの接続は取っていない。
西表島はダイビング・カヤック・釣り・砂浜で体育座りなど海や川にまつわるレジャーに強い場所でもあり、そちら方面のホビーを放っておくのも惜しい。
せっかく行くなら好きなジャンルを適度にツマミ食いしつつ乗りバスに臨みたいところである。