やっぱり過酷すぎる? 私鉄の代替バスは“使える”のか!?

やっぱり過酷すぎる? 私鉄の代替バスは“使える”のか!?

 国鉄/JRにとどまらず、私鉄もまた採算の合わない鉄道線を廃止することがあり、その後バスが走り始めるのは定番の流れだ。そんな私鉄の代替バスは、鉄道と同じ感覚で利用できるのだろうか。旧・名鉄三河線で検証してみた。

文・写真:中山修一

「山」と「海」に分かれる名鉄三河線

現在の名鉄三河線の終点になっている碧南駅
現在の名鉄三河線の終点になっている碧南駅

 現在20もの路線を運行している名古屋鉄道。中京地区を代表する大手私鉄であるが、これまでに廃止された路線の数も多い。その中に、愛知県豊田市の西中金〜西尾市の吉良吉田(きらよしだ)間64.8kmを縦断する形で結ぶ三河線が含まれる。

 名鉄名古屋本線の知立(ちりゅう)駅を境に、内陸へ向かう西中金方面には「山線」、三河湾を目指す吉良吉田方面は「海線」の通称が付けられている。

 三河線は今も現役の鉄道路線なので、代替バスと関係なさそうに見えるが、2004年に路線の両端・具体的には山線の猿投(さなげ)〜西中金間8.6kmと、海線の碧南(へきなん)〜吉良吉田間16.4kmの部分廃止を受けた経緯がある。

 名称こそ同じ三河線であるが、西中金〜猿投、猿投〜知立、知立〜碧南、碧南〜吉良吉田間で列車の運行が基本的には分割されていたため、それぞれ個別の路線として見ても良いほどだ。

 廃止された区間の晩年は、コストの問題から電車での運行をやめ、ディーゼルエンジンで動くレールバスが使われていた。言うなれば鉄道時代も“バス”が走っていたわけだ。

海線の代替バスに乗ってみる

 2004年4月の廃止以降は路線バスを使っての代替交通手段が採用され、今日まで続いている。

 鉄道代替バス=本数が少なく接続も凶悪、利用が難しすぎてもはや過酷なスポーツ、みたいな印象を少なからず抱いてしまうが、名鉄三河線の代替バスはどうだろうか。

 今回は海線を試すべく、知立から名鉄三河線に乗り換えておよそ35分、現在の三河線の終点になっている碧南駅へと向かった。2019年に駅舎が建て替えられキレイに整備された碧南駅前のロータリーから、三河線レールバス区間の代替バスが発着している。

 海線代替バスの愛称は「ふれんどバス」だ。ところが駅前に「ふれんどバス」を冠したバス停標識はなく、名鉄バスの標識に吉良吉田駅行きの案内が掲示されている。

 時刻表を見ると、通勤通学時間帯が15〜30分おき、昼間と夜間は1時間おきと、鉄道の頃と変わらない本数が設定されている。代替バスとしては手堅い。

 碧南駅〜吉良吉田駅を結ぶ路線ながら、朝と夕方の便は碧南/吉良吉田双方の高校が始発または終点になっており、スクールバスの役割を兼ねているようだ。

 バスが来るまで約40分。駅から少し歩くと、レールバス区間の廃線跡を活用した遊歩道と記念公園の「碧南レールパーク」が見えてくる。

碧南レールパークには、鉄道を偲ぶモニュメントや三河線の資料が展示されている
碧南レールパークには、鉄道を偲ぶモニュメントや三河線の資料が展示されている

 駅前でジッと待っているより、レールパーク内を散歩していれば体感時間も短くなってちょうど良い。ただし遊歩道は片道2.3kmほどあり、端まで行ってしまうとバスを1本逃すかも…。

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