86やランクル、電動化の課題となりそうな車種はどうなる?
これらの内でランドクルーザー(特に日本で売られない70)は、極悪路における優れた走破力により、地域によっては生活する上で不可欠な移動手段とされる。
従ってHV化が難しいが、そのほかは大半の車種にHVの設定が可能だ。86をHVにするのは、レイアウト全体を見直す必要があってフルモデルチェンジを行わないと難しいが、スバル製だから問題ない。
従って2025年までに、トヨタの乗用全車にHVが用意されそうだが、前述のランドクルーザーなどは融通を付ける。HV仕様がどこかの地域で売られていれば、同じ車種のノーマルエンジン車だけを供給する地域(HVを売らない地域)があっても構わない考え方だ。
ガソリンの質が悪い地域も多く、地球上のどこでもHVを使えるわけではない。あまり厳密に考えると、車を供給できない地域が生じて逆効果になってしまう。
以上のような緩やかな解釈であれば、2025年に電動車を一切用意しないトヨタ車をなくすことは可能だ。一連のトヨタの計画は、大それたものではない。
ハイブリッドの比率は今後さらに増える
気になるのは今後のバリエーション展開だが、あまり大きく変わらない。先に述べたようにHVとPHVで450万台、EVとFCVは100万台だから、従来と同じくHVが中心だ。
例えば、日本のヴォクシー&ノアやヴェルファイア&アルファードであれば、量産効果が進んでHVが割安になり、ノーマルエンジン車の比率が減るという具合に発展していく。メカニズムも、基本的には今日のTHSIIを洗練させながら進化させる。
PHVは価格を下げないと普及が難しい。今のプリウスPHVは、HVのプリウスに比べると、装備の違いを補正しても約70万円高い。
価格差がこれだけあると、PHVがガソリンを一切使わず充電された電気だけで効率良く走っても、走行コストで70万円の差額を取り戻すには約27万kmの走行を要する。HVとPHVの価格差を30万円以内に収めないと、普及させるのは難しい。
逆に20万円程度で充電機能が加われば、充電設備を設置しやすい一戸建てのユーザーや営業車に使う法人などに普及していく。
『先を急がないでほしい』EVの未来
結論をいえば、ビックリするような変化は訪れない。今に比べてHVの比率は増えるが、エンジンは搭載されている。トヨタもEVを手掛けるが、その比率は低い。
世の中のすべての車がエンジンを搭載しない純粋なEVになる時代がくるとすれば、もっと先の話になる。自動運転も同様だ。
あまり期待しすぎると、2020年、2030年、2040年になった時、「結局EVも自動運転もダメだった。実現するのは無理」という諦めた論調になりかねない。
この2つの技術は重要だから(特に自動運転は体に重い不自由があっても自分1人で車を操れる)、必ず、絶対に実現させねばならない。
だから先を急がないで欲しい。今の世間やマスコミの論調は、大切な技術の芽を無造作に摘み取る結果を招きそうで、とても恐ろしいと思う。
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