■クリーンディーゼル車のニーズ後退
マツダ2の売りになっているのは1.5Lクリーンディーゼル(ターボ付き)である。現行デミオの発売当初の販売構成比はこのディーゼル仕様が約70%と高く、同シリーズの主導的な役割を果たしていた。
しかしマツダ2に改名してから最近までは、約70%がガソリンNA仕様になっており、クリーンディーゼルはすっかり影が薄くなっている。
理由は「クリーンディーゼル車のニーズの後退」である。
現行デミオが新型車で発売された当時(2014年後半)は、燃費の良さや排ガスのクリーン性のアピールでマーケットの評価は高かった。ところがその後、ドイツメーカーを中心に排ガス測定の不正問題が発覚したことでイメージダウンが広がった。
一方で電気自動車、プラグインハイブリッド、ハイブリッドなど電動化の流れが強まり、クリーンディーゼルのニーズが大幅に後退している。国内でもこうした流れに呼応した電動化のニーズが高まり、国の補助金制度も電気自動車やハイブリッドに対しては引き続き予算措置を講じているが、クリーンディーゼル車は一部カットなどで予算を減らす動きが出ている。
こうなるとマツダ2としてはモデル自体の商品力の低下に加えて、頼みのディーゼル車の売れ行き頭打ちの二重苦によって販売の頭打ちが余計に顕著なっている。
■改名は失敗か?成功か?
販売の現場でも厳しい状況が伺える。
マツダは5年ほど前にスカイアクティブ技術の採用モデルについて一律に高い残価を設定している。残価設定クレジットの「スカイプラン」で購入する場合、残価率を3年後55%、5年後40%を設定し、これを保証することで、高いリセールバリューを維持することを目指している。
これまで新車を販売する時、ライバル他社に比べて大幅値引きで売っていたため、中古車価格が大幅に下落し、リセールバリューが極端に低くなっていた。
これを改めるためスカイプランの残価率を高くしており、このことでリセールバリューは次第に高くなっている。ただ大幅値引きで売ることが出来ないので、販売自体の促進がしにくくなっている。
最近、マツダ2の中心グレードにナビ、ETC、フロアマット、サンバイザー、ドライブレコーダー、コーティングなど40万円相当のオプション&付属品をつけて見積もりを取るとガソリン車、ディーゼル車とも初回交渉の値引き提示額は5万円程度。これは、ライバル車に比べると10万円以上ものガードの固さとなっている。
こうなると(「高級路線」へのイメージチェンジを含む)「マツダ2」へ改名したのは失敗と言えなくもない。
■次期型は2022年秋頃か⁉
とはいえ、マツダ2の苦戦については、モデル自体の古さも差し引いて評価する必要がある。
次期型へのバトンタッチは2022年秋頃が予想される。
現行のクリーンディーゼルに代わる目玉を新たに開発する必要がある。それは1.5Lの「スカイアクティブX」であろう。
現在、マツダが開発している「スカイアクティブX」は、現行4気筒2Lをベースに1気筒を外し、3気筒にした1.5Lバージョンといわれる。2Lは高圧縮比と超希薄燃焼で圧縮着火させ、これにモーターアシストのマイルドハイブリッドを組み合わせ、高性能と低燃費を高次元で両立させた画期的なパワーユニットである。
2Lは現在、マツダ3やマツダMX-30に搭載しているが、他のスカイアクティブGに比べて60万円も高いために販売構成比は今のところ10%台と低い。1.5Lバージョンでコストダウンに成功すれば次期型マツダ2の目玉として主導できる可能性もある。
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