最近のマツダは車名を次々と変えている。2019年5月には、アクセラがフルモデルチェンジを受けてマツダ3になった。
7月に入ってアテンザがマイナーチェンジを実施してマツダ6、さらにデミオもマツダ2に変更された。日本国内の車名を海外と共通化した。車名がマツダ2とかマツダ3だから「マツダアクセラ」と表記する時は「マツダマツダ3」になる。
最も新しい変更は、デミオがマツダ2になったことだ。
これでマツダはアクセラ、アテンザ、デミオといった一般にも浸透した車名を廃止し、数字、アルファベット系ではない車名はロードスターのみとなった。
マーケティング上の戦略であることはわかるが、本当に大丈夫なのか? 渡辺陽一郎氏が考察する。
文:渡辺陽一郎/写真:平野学、奥隅圭之、池之平昌信、MAZDA
マツダ2はクラスを超えた上質感が魅力
デミオが比較的大きな規模のマイナーチェンジを施され、これを機にマツダ2へと社名を変更。フロントマスクやテールランプの形状も変わり、外観の印象がマツダ3に近付いた。
内装では前席の造りを見直している。背もたれの下側(スボンのベルトが接するあたり)、体重が最も加わるヒップを支える座面の後方、大腿部を押さえる座面の中央付近を入念に造り込んだ。
その結果、前席の背もたれや座面が体にフィットして、しっかりと支える。着座姿勢が安定して、座り心地も快適になった。新旧モデルを比べると、現行型はシートの仕上がりが大幅に向上しており、少なくとも全長が4m前後のコンパクトカーの中では、デミオの前席は抜群に上質だ。
電動パワーシートもSパッケージにオプション、Lパッケージに標準装着した。一般的な運転席パワーシートは、座面の前方と後方を独立して上下調節できるが、マツダ2のタイプは手動式シートリフターと同じくほぼ平行に上下するだけだ。電動パワーシートとしては、調節のバリエーションが少ない。
このほかサスペンションのセッティングも変更した。ステアリング操作に、エンジン出力とブレーキを連係させて安定性と快適性を高めるGベクタリングコントロールプラスも採用している。
車間距離を自動制御できるクルーズコントロールは全車速追従型に進化したが、パーキングブレーキは電動式にならずレバー式のままだ。従って先行車に続いて追従停車した後、自動的にパーキングブレーキを作動させ、長時間停車を続ける機能はない。追従停車後に改めてブレーキペダルを踏まないと、勝手に再発進してしまう。
マツダ3では車載通信機を採用したが、これもマツダ2には設定されない。この機能が装着されると、例えばエアバッグ作動時などはオペレーターが乗員に呼びかけを行い、応答がない時は消防や警察に通報することも可能だ。車載通信機は安全性も向上させるから、マツダ2にも設定すべきだ。
このようにマツダ2には改善を要する点も散見されるが、クルマの仕上がりは総じていい。特にインパネの周辺と、改善を施した前席の造りは、コンパクトカーの枠を超えてミドルサイズカーに匹敵する。
マツダ2はもともと後席と荷室が狭く、ファミリーカーには適さないが、前席はステアリングホイールやペダルの配置が適切だ。運転姿勢を合わせやすく、内装の質も高い。前席を優先させたので、1~2名の乗車が多く、後席や荷室をあまり使わないユーザーには合理的だ。
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