■「天才タマゴ」初代トヨタエスティマ
続いては1990年に登場し、2000年まで販売された初代トヨタエスティマだ。
エスティマは1990年代にふさわしい豊かで楽しい移動を提供するために、スポーティカーの「走る楽しさ」と1BOXカーの「使う楽しさ」を高いレベルで融合させることを目的に開発された“ニューコンセプトサルーン”だった。
「天才タマゴ」というキャッチコピーどおり、ボディは広い室内空間、スタイリッシュな外観、Cd値0.35という優れた空力性能を同時に実現するため、ガラス部分も含めて、ボディ全体を連続する曲面で構成したワンモーションフォルムを採用。
広い室内空間は、フロアのフラット化により、最前列から最後部まで自由に行き来できるウォークスルーを実現した。また、フロア高を低く抑えることにより、優れた乗降性を実現している。
この低くフラットなフロアを実現したのは、新開発の最高出力135psを発生する2.4L直列4気筒エンジンを、横に75度スラントさせることで高さを抑えて、床下のミッドシップに搭載したからだ。
さらに床下に搭載するエンジンをコンパクトにするため、冷却ファンやオルタネータといった補機類をエンジン本体と切り離して、フロントノーズ内に収納。エンジンから「補機駆動シャフト」で直接駆動させるなど画期的なシステムを搭載していた。
そのうえ、走る楽しさを実現させるために、サスペンションはフロントにマクファーソンストラット。
リアは床面を低くフラットにするために高さを抑えたダブルウイッシュボーンを採用していた。多くが専用設計だったエスティマは大ヒットしたものの、車両本体価格が高額だったため、1992年には5ナンバーサイズのエスティマエミーナ/ルシーダを発売し、こちらも大ヒットした。
1993年には8人乗りのXを設定。1994年にはエスティマに搭載するエンジンは最高出力160psを発生する2.4L直列4気筒スーパーチャージャーに変更されている。1998年のマイナーチェンジで外観を一新。
さらにエアロパーツを装着したアエラスというグレードを設定。同時に自然吸気エンジンが廃止された。エスティマは国産ミニバンで強いブランド力をもった初のモデルである上、1990年代に流行したドレスアップのベース車として、若者にも大人気となり、中古車相場も高騰した。
現在、初代エスティマの中古車は約17台流通していて、平均価格は約57万円。価格帯は約20万〜約110万円。なんと中古車の平均価格は、2000年〜2005年まで販売された2代目エスティマの約31.4万円を大きく上回っている。
初代エスティマの中古車で最も多いのは、エアロパーツを装着したアエラス。ドレスアップしたクルマは少なくなり、ノーマル状態のクルマが多く流通しているのが特徴だ。
■マツダボンゴフレンディ
最近は、車中泊ができるクルマが話題となっている。
車中泊で最初に話題となったクルマが、1995年〜2006年まで販売されたマツダボンゴフレンディだ。衝突安全基準をクリアするために、ボンゴフレンディはクラッシュシャブルゾーンとして、フロントノーズを装着している。
しかし、エンジンは運転席下に搭載されたキャブオーバータイプのワゴンで、駆動方式はFRを基本としている。搭載しているエンジンは、2.5L V型6気筒をはじめ、2.5L直列4気筒ディーゼル。そして2L直列4気筒ガソリンの3種類。
このボンゴフレンディが人気となったのは、オートフリートップ(AFT)という装備のおかげ。これはルーフを電動で持ち上がり、居住スペースが出現する。
このルーフ部分は大人二人が寝ることのスペースが確保され、床はクッション敷きで、テントの窓には虫除け網も採用されているのが特長だ。このボンゴフレンディのAFT人気に触発され、ホンダは初代オデッセイとステップワゴンにフィールドデッキというグレードを設定した。
現在、ボンゴフレンディの中古車は約22台流通していて、平均価格は約88万円。中古車の平均価格は約39.8万〜約249万円となっている。
なんとボンゴフレンディの中古車の平均価格と最高値は後継モデルのビアンテの平均約47.1万、最高値198万円を大きく上回っている。流通している約22台のボンゴフレンディの中古車のうち、約17台。そしてなんと77.2%はオートフリートップ車となっているのだ。
今回紹介した3モデルはいずれもエポックメイキングなモデルだけに、生産終了から時間が経過しても高額な中古車が存在しているのだ。なかでもデリカスペースギアとボンゴフレンディの人気の高さには正直驚いた。
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