「ビート対ホンダe」?? 「人馬一体の愉しみ」を巡る異次元バトル6選

■セリカGT-FOUR vs. GRヤリス

●トヨタのラリーベース4WDターボの時空を超えた進化

 22年前にデビューしたセリカGT-FOUR(ST185)と最新のトヨタの4WDターボ車のGRヤリスに、昨年12月末のベストカーの雪上テストで同じコンディションのもと、乗り比べることができた。

 まずGT-FOURだが、古いクルマだけあってボディが柔らかいものの、ビスカス式センターデフは癖がなく、運転していて違和感がないナチュラルなフィーリングの4WDに仕上げられていた。

 搭載される2L、直4の3S-GTEは、225ps(後期は235ps)ということで新車当時からランエボ、インプレッサWRXに比べると見劣りしていたものの、今でもトルクフルで力強さのあるフィーリングは健在だ。

 対するGRヤリスに乗ると、当然のことだとわかっていても時間の流れ、その進化の大きさを痛感する。

セリカGT-FOURはWRCで勝つために4WDターボが与えられ、実際にWRCを席巻
セリカGT-FOURはWRCで勝つために4WDターボが与えられ、実際にWRCを席巻

 エンジンは1.6Lと排気量は小さいものの、下からトルクがあってレスポンスもいい。アンチラグがなくても雪道をガンガン攻めることができるのも素晴らしいし、運転していて気持ちいい。

 GT-FOURに比べて、車重も軽く、GRヤリスはタイヤが勝っているため、舗装路、ダートともにスタビリティが非常に高く、より速く走ることができる。

癖のない4WDで非常に乗りやすいセリカGT-FOURは力強さもある
癖のない4WDで非常に乗りやすいセリカGT-FOURは力強さもある
大きく進化したGRヤリスはダートでも舗装路でも超高性能
大きく進化したGRヤリスはダートでも舗装路でも超高性能

 このGRヤリスで唯一不満なのはセンターデフの制御で、動きは速いのだが、どうしてもFFっぽい挙動となり癖が強い。センターデフの制御さえよければ、完璧なのだが……。

 この点、GT-FOURはラリーコンペティションではあるが過度なパワーがあるわけではなく、非常に扱いやすい4WDターボ車だと言える。

 WRCでチャンピオンを獲得するために生まれ、4WDターボという武器を与えられているのは両車に共通しているが、実際に走らせるとそのキャラクターが大きく違うのには興味深いものがある。

セリカGT-FOURを10点とした場合、GRヤリスは30点という結果に
セリカGT-FOURを10点とした場合、GRヤリスは30点という結果に

(TEXT/新井敏弘)

■この2台は「時空を超えた人馬一体」か!?

 それを探りたい2台の組み合わせはまだある! この並べた2台は「時空を超えて人馬一体を味わえるモデル」になっているのか!? “直系”ではないモデルも登場。どう評価する?

■A80スープラ vs. 現行GRスープラ

●A80終了から17年。GRスープラは人馬一体感を受け継いだか!?

 スープラは、強烈な速さとともに印象に残っています。操縦性もとてもよかった。特にリアの左右ダンパーをつないだRIASサスのトラクション性能は当時のFRとしては出色の出来でした。ただ、ドライバーとクルマに距離がそれなりにあって、一体感という感覚は希薄でした。

 GRスープラは、スープラの名前は継承しているものの、中身はBMW Z4とプラットフォームを共有する別物。

 ホイールベースを極力短くしたディメンションによって曲がりやすいし、コントロール性のいいクルマに仕上がっています。何よりステアリングフィールが明瞭でクルマとドライバーの距離が近く感じられます。人馬一体感と言える感覚があります。

A80スープラ。「トラクション性能は当時のFRとしては出色の出来」と斎藤氏は再評価
A80スープラ。「トラクション性能は当時のFRとしては出色の出来」と斎藤氏は再評価
GRスープラ。現行GRスープラは、人馬一体感の感覚は強し
GRスープラ。現行GRスープラは、人馬一体感の感覚は強し

 改めて80スープラについて考えてみると、全然ダメではなく、細部のチューニングが及んでいなかったという気がします。

 だいぶ昔の話になりますが、ニュルブルクリンクでトレーニング用のスープラに乗せてもらったことがあるんですが、このクルマは不思議なくらいにクルマの動きがつかみやすく感動したのを覚えています。

 市販80スープラとトレーニング用スープラを進化の線でつなぐと、その延長線上にGRスープラの影が薄ぼんやり見えるんです。そうして見ると、トヨタのクルマ作りの血統は受け継がれているんだなというのがわかります。

A80スープラを10点とした場合、GRスープラは20点という結果に
A80スープラを10点とした場合、GRスープラは20点という結果に

(TEXT/斎藤 聡)

■2代目スイフトスポーツ vs. 4代目現行スイフトスポーツ

●2代目終了から7年後に登場の現行。時空を超えた人馬一体感はある!?

 乗り味はまったく異なる2台です。2代目は1.6L NAで最高出力は控えめな125ps。世界戦略車ということでガソリンの品質の悪いところも想定していたのか、ハンドリングは抜群だけれどパワーは物足りませんでした。

 けれども、それがスポーツドライビングのためのエントリーカーとして手頃で、結果としてエントリースポーツとして多くのファンを獲得するに至りました。

 現行スイフトスポーツは1.4L直4DOHCターボで、140ps/23.4kgm。パワーは15馬力差ですが最大トルクは2代目の15.1kgmの約5割増し。パワーフィールも、現行型は速さをガンガン前に押し出すタイプです。

 エントリースポーツからはちょっと離れてしまい、かなりマニアックなコンパクトスポーツになってしまった感があります。

 その意味でいうと、キャラクターはずいぶん変わってしまったという印象です。

2代目スイフトスポーツ。初代から一新された人気の2代目
2代目スイフトスポーツ。初代から一新された人気の2代目
4代目スイフトスポーツ。スイスポ史上初のターボ搭載。走りの評価の高さは折り紙付き
4代目スイフトスポーツ。スイスポ史上初のターボ搭載。走りの評価の高さは折り紙付き

 ただ、クルマの味つけが多少変わっても、しっかりしたボディの剛性感や、しっかりしたステアリングの手応え、素直な操縦性はそのまま受け継がれています。

 エントリースポーツとして人気を博した2代目のよさは現行型でもちゃんと受け継がれています。そして人馬一体の感覚も、ちゃんと受け継がれていて、クルマを操って走る楽しさに、何ら変わりはないと思います。

2代目スイフトスポーツを10点とした場合、現行4代目は12点という結果に
2代目スイフトスポーツを10点とした場合、現行4代目は12点という結果に

(TEXT/斎藤 聡)

■ランサーエボリューションX vs エクリプスクロスPHEV

●車両コントロール制御S-AWCに特化して、2台の人馬一体感を探る

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