ランエボXは2007年に登場し、2016年のファイナルエディションを最後に姿を消した。その最大の特徴はS-AWC(スーパーオールホイールコントロール)に支えられた自由自在性の高い走りにあった。
ランエボは三菱のラインナップから消滅してしまったが、S-AWCに代表される三菱の車両コントロール制御技術は引き継がれ、現代のエクリプスクロスPHEVにも継承されているのだ。
2Lターボエンジン+メカニカル4WDのパワートレーンを持つランエボXとエクリプスクロスPHEVの前後電動モーター駆動4WDではハード面の共通性はない。
では、いかにS-AWCという同名の車両制御技術を確立しているのだろうか。
S-AWCとはその名のとおり、4輪の制御を行うことで可能とする技術理念。ランエボXではS-AYC(スーパーアクティブ・ヨーコントロール)やACD(アクティブセンターデフ)によって前後左右の駆動配分の面から行っていた。
一方、エクリプスクロスPHEVでは前後個別の駆動モーター制御により自由自在な駆動配分が可能で、フロント内輪ブレーキ制御を行うことで実現している。
それぞれ異なった技術的アプローチが取られているが、求めているのは高いヨーコントロール性=意のままに操れる操縦感覚であり、人馬一体の操る楽しさの追求として一致している。つながりのある2台といえる。
(TEXT/中谷明彦)
■ビート vs. Honda e
●共通点がなさそうに思える両モデル。が、人馬一体をテーマにすると!?
今から30年前に登場し、センセーションを巻き起こしたのが軽自動車規格のマイクロスポーツカー、ビートだ。人馬一体の気持ちいい走りが楽しかった。現代で、同じような味わいのクルマを探すとEVのホンダeになる。
えっ、ぜんぜん違うクルマじゃないの!? と思うかもしれない。かたや背の低いミドシップカー、もう一方は背の高いピュアEV。カタチは違うが、ホンダの走りのDNAが受け継がれているといっていい。
両車、似ている点はどちらも後輪駆動で、前後に異サイズのタイヤを履いていることである。走らせてみると、両方とも理屈抜きに運転が楽しい。
ビートはまさにオン・ザ・レール感覚。正確なハンドリングを身につけている。足のよさに加え、軽くて剛性も高いから連続する小さなコーナーも苦にしない。3気筒エンジンは8500回転まで軽やかに回り、持てるパワーをすべて使い切ることが可能だ。短いストロークの5速MTも楽しかった。
ホンダeはモーターならではの鋭い瞬発力とシームレスな加速フィールが魅力だ。さりげなく意のままに走れる。街乗りベストと言っているが、山岳路でも気持ちいい操縦感覚だ。パワーがあるから、コツをつかめば豪快な走りを引き出すことができる。
下り坂はビートだが、重い車重にかかわらず上り坂を攻めて楽しいのはホンダe。バランス感覚も一歩上を行くが、ビート同様に人馬一体感を味わえるモデルに仕上がっている。
(TEXT/片岡英明)
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