■自給自足で走らせる隠れた才能
ミニバンの3列目シートでは、グランエースを除くと、アルファード&ヴェルファイアが最も快適といわれる。
ところが実際はオデッセイだ。アルファード&ヴェルファイアは左右に跳ね上げて格納するから、シートが薄い。床と座面の間隔も乏しく、足を前側へ投げ出す座り方になる。
その点でオデッセイは床下格納だから、シートが厚く、床と座面の間隔も適度なので着座姿勢もちょうどよい。
プリウスPHVのソーラー充電システムでは、晴天の日に1日充電すると、6~7kmを走行できる。充電や給油をせずに、クルマを自給自足で走らせられる魅力は大きい。
(TEXT/渡辺陽一郎)
■クラスを超えた内装の質感
クラスを超えた質感に驚かされたのはマツダCX-30だ。ヘッドアップディスプレイも重宝する。
最近のマツダ車のインテリアは質感が高いが、コンパクトSUVのなかでCX-30はダントツに質感が高い。
MX-30も上質ムードだが、親しみやすさは今一歩と感じる。ナビ画面がもう少し大きくて見やすければ、さらに魅力を増すはずだ。
スバルレヴォーグも新型になり、質感をアップした。ちょっとゴテゴテとした印象はあるが、シルバーメッキやピアノブラックの加飾パネルの使い方など見栄えがいい。STIスポーツは洒落っ気も好印象だ。
同じ価格帯のトヨタハリアーも上質ムードが際立っている、都会派SUVだ。兄貴分のレクサスのモデルやプレミアムクラスに迫る上質感があり、色使いもうまい。
さらに誕生間もない日産ノートオーラは、コンパクトクラスとは思えない仕上がりを見せている。
インパネは樹脂だが、アームレストやドア内側などにツイード調織物とレザーをあしらい、木目調パネルもいい雰囲気。
フーガと同じ厚みのあるスラブウレタン素材も高級感がある。内装はいいが、ホールド性がもう少しよければ、さらにスポーティな走りを楽しめるはず。そう感じる。
軽自動車も最新モデルは質感に気を遣っている。私が気に入っているのは日産ルークスと三菱eKスペース系のインテリア。
それほど高級感はないが、コストをかけないで質感高い仕上がりになっている。
(TEXT/片岡英明)
【番外コラム】「もっと才能を発揮してほしかった」残念な旧車たち
才能を発揮せずに消えた国産車として、最も印象的なのが、スズキ キザシだ。スズキ初の上級セダンとなる意欲作でありながら、主戦場ではない日本では受注生産のみ。さらに晩年は、捜査用覆面車として多く採用されたため、警察車両のイメージが強い。
しかしながら、警察関係者が愛車として購入することも少なくなかったとも聞く。世間が食わず嫌いで終わった残念な一台といえよう。
小さな高級車トヨタ プログレは、セルシオに迫る質感と5ナンバーサイズを合わせたアイデアはよかったが、爺むさいキャラが受けず、一世代で終了。
もう少し洒落っけを備え、和製バンプラを目指してほしかった。惜しいモデルだ。
リムジンシートが売りのRV日産ルネッサ。しかし、後席足元だけが広く、全高のわりに乗車位置も高いので、居住性と乗降性はイマイチだった。
これはEV化を前提としていたことが理由。技術開発の意味は大きかったが、EV化の制約で、ユーザーメリットが薄かったのは残念。
2列目の快適性を高めた6人乗り新3列シート車として登場したホンダ ジェイドは、3列目の頭上空間の狭さと2人しか座れない2列目キャプテンシートが不評に。
立駐に収まるワゴンと完全独立式の2列目シートの視点はよかったが、結果的に中途半端なクルマになってしまった感がある。
どれも意欲作だが残念ながら空振りに終わったクルマたち。なかには生い立ちゆえに背負ったハンデが大きかったクルマもあるのも事実。
(TEXT/大音安弘)
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