■メルセデスの課題はダウンフォース
その良い例がスタート直後の8ラップ。目の前を走るアルファタウリの角田裕毅に抑えられ、彼をパスするのにハミルトンは9ラップも費やしてしまった。オーバーテイクポイントはストレートエンドだけのイスタンブール。それも本来ならDRSを使って。しかし今回はそのDRSは濡れた路面では最後まで使えず、したがってリアウィングにダウンフォースを頼るメルセデスは、ウィング抵抗も大きくトップスピードも伸ばせない。適正ダウンフォースを効率的に発生させるアルファタウリを抜くのは極めて難しいということになる。
もちろんメルセデスは30馬力近くのパワーアドバンテージを持っているのだが、予選決勝を通じてそれが速いか遅いかを見極めるのは極めて難しいのだ。
これまでの悪コンディションでのレースを見ている限り、メルセデスとレッドブルホンダは総合的に五分五分という印象だ。そして、最終戦まで本格的なパワーサーキットは無く、高速でもテクニカルでダウンフォースの仕事が重要なサーキットばかりが続く。メルセデスvsレッドブルホンダの速さの決着、どうつくか、これからのレース、目が離せないシーズン終盤となってきた。
TETSU ENTERPRISE CO, LTD.
TETSUO TSUGAWA
津川哲夫
1949年生まれ、東京都出身。1976年に日本初開催となった富士スピードウェイでのF1を観戦。そして、F1メカニックを志し、単身渡英。
1978年にはサーティスのメカニックとなり、以後数々のチームを渡り歩いた。ベネトン在籍時代の1990年をもってF1メカニックを引退。日本人F1メカニックのパイオニアとして道を切り開いた。
F1メカニック引退後は、F1ジャーナリストに転身。各種メディアを通じてF1の魅力を発信している。ブログ「哲じいの車輪くらぶ」、 YouTubeチャンネル「津川哲夫のF1グランプリボーイズ」などがある。
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