国内では淘汰されて久しかった直列6気筒エンジンを新たに開発するメーカーが出始めてきている。直6と聞いて思い浮かべるメーカーはBMWという人は多いだろうが、1980年代まで歴史の針を巻き戻すと“直6=トヨタ”のイメージが強いという人も少なくないはずだ。そこで!
今となっては懐かしい、過激なパワーウォーズが繰り広げられた古き良き時代に誕生したトヨタ直6の名機をここでいま一度振り返りたい。
文/FK、写真/トヨタ、日産、FavCars.com
【画像ギャラリー】名車には名機あり! 時代を切り拓いた強心臓たち(20枚)画像ギャラリートヨタ 2000GTの3M型から始まったトヨタ直6 DOHCエンジンの系譜
最高速度220km/h、0-400m加速15.9秒、0-100km/h加速8.6秒という当時としては世界トップクラスの動力性能を誇ったトヨタ 2000GTが登場したのは1967年5月。
今から半世紀以上前のデビューにもかかわらず、今もなお輝きを放ち続ける本格2シーターモデルに搭載されたエンジンこそ、トヨタ初のDOHCとして産声を上げた1988cc直列6気筒の3M型だ。
クラウン用として開発が進められていたSOHCのM型エンジンを改良してDOHC方式を採用した3M型は車両が少量生産であること、さらには入念な仕上げを要するなど量産ラインでは生産できないとの判断。当時レースで好成績を収めていたヤマハ発動機と提携して試作と生産を委託することとなったが、そんな経緯を持つ3M型はDOHC方式の採用が高回転化に大きく寄与したことはもとより、ソレックス・サイドドラフト双胴型3連キャブレターとも相まって最高出力150psを実現。
1966年10月に行われたJAFとFIAのルールによる超高速耐久トライアルでは連続78時間&平均時速206.18km/hで約1万6000kmを走破したにもかかわらず、各部の摩耗は皆無に等しい驚異的な耐久性の高さも示した。
当時の日本GT史上最強のスペックで他車を圧倒した5M-GEU型
当時の先進技術を結集した最高級スペシャルティカーとして、1981年2月に発売された初代ソアラ。
その開発では高性能かつ低燃費エンジンや空力特性を追求したエクステリア、最新エレクトロニクス技術の採用などがポイントとなったが、なかでも長年に渡るDOHCエンジンの研究成果と英知を集結した2759cc直列6気筒DOHCエンジンの5M-GEU型が採用されたことは大きなトピックとなった。
最高出力170ps、最大トルク24.0kgmという日本のGT史上最強のスペックを誇った5M-GEU型はパワフルな特性もさることながら、アクセルを軽く踏み込むだけで一瞬にしてレッドゾーンまで吹け上がるシャープなレスポンスも大きな魅力だった。
また、世界で初めてDOHCに採用したラッシュアジャスターが吸排気弁の隙間を自動的にゼロ調整することによりメンテナンスフリーを実現。チェーンに代わってカムシャフトの駆動に採用されたタイミングベルトとの相乗効果により、最高級スペシャリティカーのソアラに相応しい高い静粛性を獲得することにも成功。
加えて、低中速トルクを太くすることで市街地における実用性や使いやすさにも入念な配慮が注がれた。
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