クロカンではいまだディーゼルエンジンが人気のワケ
オフロードでは、スピードよりも悪路を力強く突き進めるパワーが重視される。そこで重視されるのがトルクのあるディーゼルエンジン。ディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりも低回転から強いトルクを発生させることが可能なため、低速でもラクに悪路を走破することが可能となる。
こうした理由から、昔からのクロカン好きの間では圧倒的にディーゼルエンジンの人気が高い。
ディーゼルエンジンと言われると、この脱炭素の時代に! と目くじらをたてる人も多いかもしれないが、近年では、低燃費・低排出ガスのクリーンディーゼルエンジンが開発され、搭載しているクルマも増えているため、以前ほど、ディーゼルエンジン=悪というイメージは払拭されている。
ここからは、絶滅危惧種と言われるなかで奮闘する、いま新車で購入できる国産クロカンの魅力を探っていこう。
スズキ・ジムニー&ジムニーシエラ(2018年7月~)
軽自動車では唯一の本格的なクロカンであるジムニー。1970年に、当時としては軽自動車で唯一の四輪駆動車として誕生した。クロカンブームの時には、パジェロミニに押され、陰が薄くなってしまったものの、逆境にめげることなくおよそ半世紀に渡り踏ん張り続け、いまだその血統を絶やすことなく生産が続けられている。
ジムニーの息の長い人気の秘密は、取り回しが良く、オフロードのみならず街乗りでも不便を感じることがない、オールラウンドな実力を発揮してくれるところだろう。
そして、2018年7月5日になんと20年ぶりのフルモデルチェンジを迎えた。ランクル然り、このモデルチェンジサイクルの長さもクロカンの魅力と言えるだろう。
パワーユニットは専用チューニングが施された直列3気筒インタークーラーターボDOHC12バルブエンジンを採用。最高出力64ps、最大トルク9.8kgmを発揮する。
もういっぽうのジムニーシエラは、新開発の1.5リッターの直列4気筒DOHC16バルブエンジンを搭載。最高出力102ps、最大トルク13.3kgmと、ジムニーを上回るパワー持つ。
ボディサイズもジムニーが全長×全幅×全高=3395mm×1475mm×1725mmに対して、シエラは全長×全幅×全高=3550mm×1645mm×1730mmと、若干サイズアップしている。
両車とも新開発ラダーフレームを採用し、X(エックス)メンバーと前後にクロスメンバーを加えたことで、ねじり剛性を約1.5倍(先代モデル比)向上。堅牢さに一段と磨きがかかった。
さらに、車体とラダーフレームをつなぐボディマウントゴムを新設計することで、乗り心地の改善と操縦安定性を向上させている。
他に、スズキの予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」を搭載するなど、安全装備も充実させている。
ランドクルーザー 300系(2020年8月~)
2021年6月、14年ぶりのフルモデルチェンジを発表、8月の発売を待たずして受注殺到! 現在は納期は4年とも5年とも言われる状況となっている、トヨタのフラッグシップモデルのひとつであるランクル。
今回は、伝統のラダーフレームを刷新。最新の溶接技術の活用などにより、従来型と比較して剛性が20%アップしたと同時に、衝突安全性能、静粛性も向上。加えて、フレームの軽量化とボディの一部をアルミニウムとすることで、約200kgもの軽量化にも成功している。
パワートレーンの搭載位置を車両後方に70mm、下方に28mm移動することで、大幅な低重心化や前後重量配分も改善され、操作性も向上させている。
パワーユニットは、3.5リッターV6ツインターボ ガソリンエンジンと3.3リッターV6ツインターボ ディーゼルエンジンの2タイプを用意。最大トルクが、ガソリンエンジンは66.3kgmに対し、ディーゼルエンジンは71.4kgmと、その差は小さく、ガソリン車でも低速域からディーゼル車と遜色のない力強い走りを見せてくれる。
プラットフォームの刷新に伴い、サスペンションも新開発。さらに、ショックアブソーバーの減衰力を4輪独立で制御するリニアソレノイドタイプのAVS(Adaptive Variable Suspension)を採用することで操縦安定性と乗り心地を両立。
他にも、低速時の取り回しを向上させると同時に悪路走行時のキックバックを低減する操舵アクチュエーター付きパワーステアリング、ブレーキペダルの操作量をセンサーで検出して最適かつリニアな制動力を得られる電子制御ブレーキシステム、リアタイヤのトラクション性能を確保するトルセンLSDを採用するなど、挙げればキリがないほどの進化を遂げている。
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