失脚の原因はどこにあった!? 三日天下に終わった悲しきクルマたち 

「恋愛仕様。」のキャッチコピーは少々行きすぎ? 「ホンダ S-MX」

失脚の原因はどこにあった!? 三日天下に終わった悲しきクルマたち 
ボクシーなルックスとは裏腹に、デートカーとしての特徴を数多く持っていたホンダ S-MX。外見面での個性は少なく、それが後半の売り上げ不振にもつながった?

 バブル景気の終焉こそ迎えたものの、90年代トレンディドラマはまだまだ元気だった1996年、ホンダから少々風変わりなトールワゴンが発売された。それが「恋愛仕様。」のキャッチコピーが与えられたS-MXだった。

 ホンダの初代ステップワゴンをベースに開発されたS-MX最大の特徴は内装にあった。前後2列のシートはベンチタイプで、シフトレバーはハンドルの近くに装着されるコラム式。そしてこのシートを倒せばフルフラットになり、車内には大人二人が寝そべることができる大きな空間が出現する。

 そう、これこそがまさにS-MXが恋愛仕様であるゆえんだった。フルフラットになったシートは車中泊に最適であり、その枕元にあたる部分にはティッシュボックスを収められるグローブボックスが設けられていたのだ。

 このような特徴が奏功したのか、S-MXのセールスは1カ月平均6000台超という好調さをみせていた。だが、この「恋愛仕様。」は諸刃の剣であり、普通に車中泊の可能なトールワゴンを求めていたユーザーにとっては購入をためらうハードルにもなってしまった。

 結果として、当初は良好だったS-MXの売り上げもその後に失速してしまい、後継車両を残すことなく2002年には販売が終了している。

孤高のロータリーモデル、最後の1台に? 「マツダ RX-8」

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一見4ドアモデルに思えないスポーティなルックスのマツダ RX-8。現時点でRX-3にルーツを持つロータリーエンジン搭載シリーズの最後のモデルとなっている

 次に紹介するクルマの販売開始は2003年。そこから2013年まで製造が続けられていたので、三日天下というには少々販売期間が長い気もする。とはいえ、一代限りで終わったモデルなのも事実で、発売前から期待を集め、実際に発売からしばらくは好調なセールスを記録していた。そのクルマがマツダのRX-8だ。

 マツダのお家芸でもあるロータリーエンジン搭載車のRX-8は、それまでのRX-7を引き継ぐかたちでデビューした。しかし当時のマツダはフォードの傘下にあり、フォード側の意向もあってRX-8はRX-7のようなスポーツカーではなく、4人が無理なく乗車できるファミリーカーとして企画され、実際に登場したプロダクションモデルもそのコンセプトに沿ったものだった。

 だが、RX-8はRX-7の後継車種でもあるため、随所にスポーティな試みが盛り込まれていた。そしてその目論見どおり、RX-8はロータリーエンジンを愛するユーザーを筆頭に多くの顧客を獲得した。  

 だが、時代の流れとともに燃費に難のあるロータリーエンジン搭載車の人気は下降し、さらにはスポーティなモデルも衰退傾向へと変化していった。これら両方の要素を備えるRX-8の販売成績は次第に苦しくなり、ついには2013年にカタログから姿を消した。それと同時に、マツダのラインナップからロータリーエンジン搭載車も消えることになる。

カー・オブ・ザ・イヤー受賞の栄光も後に続かず 「三菱 レグナム」

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ステーションワゴンの典型的なスタイルで登場した三菱 レグナム(1996年)。超希薄燃焼を可能にしたガソリン直噴GDIエンジン搭載もウリのひとつになった

 1990年代半ばの日本はちょっとしたステーションワゴンブームになっていた。ブームの中心にいたのがスバルのレガシィツーリングワゴンだったが、その対抗馬として1996年に登場したのが三菱のレグナムだ。

 同時にモデルチェンジしたギャランのステーションワゴン版となるレグナムは、精悍なルックスと量産車世界初のガソリン直噴エンジン採用で話題を集め、ギャランと並んで1996年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。

 カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するだけあって機能面での評価も高かったものの、レグナムが登場したのは、ステーションワゴンからミニバンへと人気が移りつつある時期でもあった。そのことがレグナムの販売にも影響を及ぼし、2002年には三菱のランサーワゴンに統合されるかたちで販売を終了。「王権」の意味を持つレグナムの車名にもかかわらず、王座にある時間は短かった。

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