失脚の原因はどこにあった!? 三日天下に終わった悲しきクルマたち 

秀作と言える仕上がりも、スポーツカー衰退の流れに勝てず 「トヨタ MR-S」

失脚の原因はどこにあった!? 三日天下に終わった悲しきクルマたち 
MR2とは大きくイメージを変え、オープンライトウェイトスポーツとして登場したトヨタ MR-S(写真はマイナーチェンジ後のモデル)も一代限りで終わっている

 車体のほぼ中央、座席と後輪の間にエンジンを搭載するのがミドシップレイアウト。クルマの運動性能を重視する場合に理想的なレイアウトであり、純レーシングカーのほとんどがミドシップを採用している。いっぽう、実用性も考慮されるロードカーでは採用例が少なく、一部のスポーツカーに限定されている。これはもちろん乗車人数や荷室の確保が難しいという制約があるからだ。

 しかし、ミドシップ車のならではの軽快な操縦性は魅力的で、こうしたクルマを望む人々に向けて作られたのがトヨタのライトウェイトスポーツ・MR-Sだ。

 その名称から想像できるとおり、MR-Sはトヨタがかつて販売していたMR2の事実上の後継車であり、実際に海外ではMR2の名称でリリースされている。先代MR2の尖った操縦性&パワー感を見直し、軽量で剛性が高い車体にエンジンをミドシップにマウント。ボディもオープンタイプにすることによって、さらに洗練されたライトウェイトミドシップスポーツのイメージを確立した。

 久々の国産ミドシップスポーツとなるMR-Sは期待を持って市場に迎えられたが、先代ほどのインパクトは得られず「良くできているものの、何か物足りないスポーツカー」という印象があったのも否めない。それが販売成績にも影響し、1999年に販売が開始されたMR-Sは、マイナーチェンジをへて2007年にその歴史を閉じた。

北米での好調も日本国内では…… 「日産 NXクーペ」

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楕円形のヘッドライトに象徴される丸みを帯びたフォルムが特徴的な日産 NXクーペ。北米では歓迎されたこのスタイルも、日本でのウケはもうひとつだった

 1980年代後半のアメリカでは、女性が通勤に使用する小型のクルマを「セクレタリー(秘書)カー」と呼び、それに該当する2+2のクーペモデルに人気が集まっていた。そんな市場に目をつけた日産が開発したのが、B13型サニーをベースにしたNXクーペだ。

 NXクーペの開発にあたり、車体のデザインはアメリカのNDI(日産デザインインターナショナル)案が採用された。それまでの日産車のイメージを覆す斬新なフォルムは話題を呼び、1990年1月に「タイムマシンかもしれない」のキャッチコピーとともに市販が開始された。

 主なターゲットであった北米市場では堅調な売れ行きをみせたNXクーペだったが、日本国内ではそもそもセクレタリーカーの需要がほぼなく、力の入ったプロモーション活動もむなしく販売は低迷する。結局ベースモデルのサニーがB14型に世代交代した1994年をもってその姿を消すことになった。

 今回紹介したモデルが三日天下に終わった理由はさまざま。しかし、三日だけでも天下を取る夢を見られたことはせめてもの救いと言えないだろうか?

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