40分で品川から名古屋着ってマジか! 2027年開業予定リニア中央新幹線は速いだけでなく超快適だった

40分で品川から名古屋着ってマジか! 2027年開業予定リニア中央新幹線は速いだけでなく超快適だった

 JR東海が路線開業に向けて建設工事を進める中央新幹線。東京の品川駅と愛知県の名古屋駅約285㎞を最速40分で結ぶ超高速鉄道だ。さらに計画では大阪まで延伸し、品川~大阪間を最速67分で結ぶという。営業最高速度は500km/h!!

 この高速走行を実現するのが、超電導磁石を使った、浮上式鉄道だ。一般的には「リニアモーターカー」と呼ばれる、最新テクノロジー満載のこの鉄道。果たしてどんなものなのか? 開業に向けてテスト走行を繰り返す、「山梨リニア実験線」での試乗体験をお伝えしよう!!

山梨県都留市にある山梨リニア実験線の拠点に姿を現したL0系車両。写真の東京方先頭車両は「改良型」と呼ばれる最新型で、28mの全長のうち、流線型のノーズ部分が15mを占める。L0系初期型に対し先頭部の空気抵抗を13%低減した<br>
山梨県都留市にある山梨リニア実験線の拠点に姿を現したL0系車両。写真の東京方先頭車両は「改良型」と呼ばれる最新型で、28mの全長のうち、流線型のノーズ部分が15mを占める。L0系初期型に対し先頭部の空気抵抗を13%低減した

文・写真/梅木智晴(ベストカー編集委員)

【画像ギャラリー】品川~名古屋40分‼ リニア中央新幹線の500km/hは超快適空間だった(12枚)画像ギャラリー

『のぞみ』よりも鋭い加速でグイグイ加速し静かな室内

「では発車します」。案内放送とともにスルスルスルと加速する。やや振動を感じるが、これはゴムタイヤが接地しているため。グググググと、押されるような加速Gを感じる。体感的には東海道新幹線『のぞみ』のN700系よりも強い加速感。山手線などの通勤電車のよりも強力な加速に感じる。リニア新幹線のL0系の起動加速度は公表されていないが、N700Sの起動加速度は2.6km/h/sec.で、山手線のE235系は3.0km/h/sec.だ。現況はあくまでも42.8kmの山梨リニア実験線を走行するためのスペックで、営業運転時の加速度などはまだ決まっていないのだという。

 ゴーという走行音がスッと消えて振動もほぼ皆無となった。150km/h前後でタイヤが格納され浮上走行に切り替わったのだ。ここまでの加速は40秒程度。あっという間であった。

 リニアというと「浮いて走る」イメージ。実際、このL0系は案内軌道上を約10cm浮いて走っているのだが、停車時に接地しているタイヤで走り出して速度が上昇することで浮上するのではなく、タイヤが格納されることでむしろ沈み込んで10cmのクリアランスでの浮上走行に切り替わるのだ。この浮上力は車両側の超電導磁石が高速で通過した際に、側壁側の浮上案内コイルに電流が流れる原理により生じるため、外部からの電源供給の必要なく浮上力を発する。つまり、停電になっても一定以上の速度があれば浮上力が突然失われることはないという安全設計。停電時は惰力で浮上走行し続け、一定の速度以下になった時点でタイヤが接地して安全に停車できるのだ。このゴムタイヤは万が一の緊急事態に500km/hのトップスピードから接地させても大丈夫な設計だという。詳細は明かされなかったが、航空機用タイヤの技術などが応用されているのであろう。

ガイドウェイの「推進コイル」に電流を流すことで電磁石のN極とS極を電気的に切り替え、側面に超電導磁石を搭載した車両を吸引・反発させることで加速、減速をするのが「超電導リニア」の原理だ(図/JR東海パンフレットより)
ガイドウェイの「推進コイル」に電流を流すことで電磁石のN極とS極を電気的に切り替え、側面に超電導磁石を搭載した車両を吸引・反発させることで加速、減速をするのが「超電導リニア」の原理だ(図/JR東海パンフレットより)
ガイドウェイの側壁両側に浮上、案内コイルが設置されている。車両の超電導磁石が高速で通過すると、側壁側の「浮上・案内コイル」に電流が流れ電磁石となり、車両を押し上げる力と、引き上げる力が発生する。この浮上・案内コイルには外部からの電源は必要ないので、停電で浮上力を失う心配はないのだ(図/JR東海パンフレットより)
ガイドウェイの側壁両側に浮上、案内コイルが設置されている。車両の超電導磁石が高速で通過すると、側壁側の「浮上・案内コイル」に電流が流れ電磁石となり、車両を押し上げる力と、引き上げる力が発生する。この浮上・案内コイルには外部からの電源は必要ないので、停電で浮上力を失う心配はないのだ(図/JR東海パンフレットより)
車体がガイドウェイ内で左右に振れた場合、磁石の反発力、吸引力が働くことで常にガイドウェイの中心に保たれるのだ(図/JR東海パンフレットより)
車体がガイドウェイ内で左右に振れた場合、磁石の反発力、吸引力が働くことで常にガイドウェイの中心に保たれるのだ(図/JR東海パンフレットより)

次ページは : 500㎞/hで疾走する超電導リニアに運転席はない!!

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