新車が発表されてから実際の発売までタイムラグがあることは増えている。だが、こうなると発表と同時にディーラーに問い合わせが殺到。さらに予約受注も重なれば販売現場はもう大変!! だからこそ、最近新たな売り方が増えてきたのだ。今後のスタンダードって!?
文:佐々木亘/写真:ベストカーWeb編集部
■先行予約から当日販売へ変わりつつある新型車の販売方式
これまで新型車の販売は、発売日以前の事前受注(予約)と、発売日以降の注文の2つに分かれていた。
事前受注では実車を見ることなく、営業マンの用意した資料と画像だけでクルマの注文を決める。
おおよそ発売日の1か月前から事前受注が始まり、クルマを見ずに決めた分だけユーザーには早くクルマが届くという仕組みだ。
しかし、事前受注開始の日時は販売会社の中で内々に決まり、スタート時期を知っているのは、お得意様だけである。
お付き合いのないお店では、事前受注の時期が分からない。こうした対応に、購入ユーザーの中では不公平感が強くなっていた。
また昨今は、新型車の発表時期と発売時期が重ならないケースも増えてきている。とりあえず、世界へ向けて新型モデルを発表するが、発売はまだ先のお話という車種が増えたのだ。
すると、新車を販売するディーラーに対して「事前受注はいつからか」という問い合わせがひっきりなしに来る。
ディーラーでは、問い合わせ対応に奔走して、仕事どころではなくなる日もあるという。
不公平感の払拭や販売店の負担軽減のため、近頃は新しい方法で新型車を販売するようになってきた。
■発表と発売は同日に!事前受注もNGの新車販売とは
新しい売り方の代表例がトヨタの「アルファード・ヴェルファイア」だった。
2023年6月21日に発売されたアルヴェルは、新型モデルの情報をほとんどクローズにして、事前受注は原則行わないという販売方式が取られたのだ。
アルヴェルはトヨタの中でも1・2を争う人気車種である。この人気車に対して、発売日(発表日)前に知らされたのは、発売日のみであった。車両概要も価格も、発売当日までは不明のまま、発売当日を迎えることになる。
すると全国各地のトヨタ販売店で発生したのは、アルヴェルの注文を希望するユーザーの列だった。
多くの販売店が先着順で注文を受け付ける形にしたため、注文待ちの行列ができる。自動車ディーラーではあまりお目にかかれない光景だ。
スマホも人気ゲームも、発売日に並んで買うのがあたりまえ。日本の自動車も並んで買う時代が到来したということだろう。
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