ついにBYDが日本市場で本気を出してきた。主力モデルの大幅値下げを発表したのだ。その中身だが、ATTO 3が418万円、ドルフィンはなんと299万2000円!! いっぽうこの値下げの裏には、4月1日に改定されたEV補助金の影響もありそうだ。
文:ベストカーWeb編集部/写真:BYD、ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】ガソリン車並み価格となったドルフィンの性能表はここからチェック!!(10枚)画像ギャラリー200万円台EVに仲間入りするBYDドルフィン
4月1日、BYDジャパンが商品ラインナップの見直しを発表した。対象となるのはSUVのATTO 3とエントリーモデルのドルフィンだが、その中身がすごい。
まずATTO 3は従来価格の450万円を418万円に値下げした。補助金を差し引くと300万円台での購入が可能になる。航続距離470km台の電動SUVがこの価格になるとは衝撃だ。
しかしもっとすごいのがドルフィンだ。このクルマは従来、ベースモデル(バッテリー容量44.9kWh)が363万円で、ロングレンジ(同58.56kWh)が407万円だった。
新たなラインナップでは、まずベースモデルをBaseline(ベースライン)と命名して299万2000円にディスカウント、ロングレンジも374万円へと値下げした。前者の値下げ幅、なんと63万8000円である。
「装備がショボくなったんじゃないの?」と思う人がいるかもしれない。しかし新グレードBaselineと従来モデルで、「簡素化」はほとんどない。しいて言えば、これまで標準だったV2Lケーブルとフロアマットが別売りになった程度。バッテリー容量も航続距離も変わっていない。
日本固有の軽EVを除けば、200万円台で買えるEVはヒョンデ・インスター(284万9000円/カジュアル)とこのドルフィンしかない。ついにEVは、200万円台でも選ぶ楽しみを味わえる時代に突入したのだ。
【画像ギャラリー】ガソリン車並み価格となったドルフィンの性能表はここからチェック!!(10枚)画像ギャラリー2025年度はCEV補助金の価格変動幅が広がった
そもそもBYDオートジャパンは、2025年1月に開いた事業方針説明会でも「創業期から成長期」へのシフトをアピールし、多くの人々のeモビリティへの移行をサポートするとともに、電動車両の普及促進を約束するとしていた。
今回の値下げはまさにこの約束を実行したものといえるのだが、その背景には、4月1日に改定されたCEV(クリーンエネルギー自動車)導入促進補助金の動きも垣間見える。
同補助金はこれまで、車種を問わずほぼ横並びという印象があったが、2024年度から車両評価に加えて充電インフラや整備体制なども考慮する評価制度に変わった。さらに2025年度からは、クルマの主材料である鋼材のグリーン度(脱炭素度)も対象となり、高評価のクルマは補助金が上乗せされる流れとなった。
こうした制度改正の結果、たとえばトヨタbZ4XやレクサスUX300e、RZ300eなどは90万円の補助金が得られるいっぽう、ボルボやポルシェは補助金が減額される事態となったのだ。
残念ながらBYDも、その減額組に入ったといわれる。全国への実店舗展開は整備面などからプラス評価だったものの、本国製造時点の鋼材の脱炭素度が弱かったという見方が強い。
つまりBYDの劇的値下げの影には、今後さらに流動化しそうなCEV補助金への対策的要素があると予想する。これはBYDに限ったことではなく、日本市場でEVを売るブランド全てが抱える悩みだろう。
踊り場に差し掛かっているEV人気だが、ガソリンの高止まりが続けばEVシフトはじわじわと進むはず。BYDドルフィンやATTO 3のような手頃なEVが、1台でも多く増えることを願いたい。
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