現在はカローラ6車種に、スパルタンなGRカローラまで加わるカローラシリーズ。手が届きやすい価格ながらも高品質で、全車種がまさに「良いクルマ」だ。これまでのカローラシリーズを振り返りながら、世界の国民車とも言えるカローラの未来を考えていきたい。
文:佐々木 亘╱写真:トヨタ、ベストカー編集部
■大衆車でありスポーツカーだった昭和のカローラ
ご存じの通り1966年から現在まで、半世紀以上も生産を続けるのがカローラだ。世界で最も有名な、日本の工業製品の一つといっても過言ではないだろう。
初代から現在まで引き継がれているのが、「デラックス」と「スポーティ」という2つのテーマ。
大衆的な価値観よりも少しだけ良いクルマをカローラは目指し、それを具現化している。
基本となるのはセダンだが、クーペスタイルの「カローラ・レビン」が、カローラ人気を引っ張っていく。あのAE86もカローラなのだ。
セダン・クーペ・バン・ワゴンという基本的な4つのボディを持ち、クルマを必要とする様々なユーザーへ、最善の提案をし続けたカローラ。
特に大衆の心をグッとつかんだセダンと、クルマ好きを刺激したクーペの存在は、現在まで続くカローラの歴史を支える礎なのである。
■兄弟が増えいろいろな形に挑戦してきた平成のカローラ
平成に入ると、カローラシリーズは既に7代目を数える。バブル経済の絶頂期を迎え、大きな高級車がたくさん生まれたこの時代。
カローラが担う役割は「小さなクルマ」へ変わっていった。
小さなスポーツカーとして登場したのが、1992年のカローラ・セレス。
4ドアクーペで伸びやかなボディラインは、セダンのカローラと一線を画す。
小さなカローラで忘れてはならないのは、カローラⅡだ。3ドアハッチバック専用車種となったのが1990年で、若者が挙って乗るエントリーカーとなる。
「カローラⅡに乗って~買い物に出かけたが~」という耳馴染みの良いCMソングも良かった。
またステーションワゴンのカローラにも力が入り始めたのが平成。
1991年に登場した国内3代目のワゴンモデルは、幾多のマイナーチェンジを繰り返し、2000年まで販売を続けた。
当時付けられた「カロツー」や「カロゴン」といった愛称は、カローラがユーザーに眺望される存在から可愛がられる存在へと変わった証だ。
さらに1990年の後半から2000年をすぎたころには、様々な形のカローラが登場する。
コンパクトスポーツのカローラ・ランクス(アレックス)。6人乗りのミニバンはカローラ・スパシオ、トールワゴンのカローラ・ルミオンというように、セダンのカローラは大きく形を変え、カローラのガラパゴス化が進んだ。
カローラにとって、大きな変化や変革を受けたのが平成の時代。この経験が、令和も生き抜く強いカローラを作っていった。
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