最近のクルマを見て思うのは“どれも似たような顔つき”だということ。それが世界基準なのかもしれないが、個性という点では今ひとつ……。そう考えると、絶命したリトラクタブルヘッドライトってすごくエモくない?
文/FK、写真/トヨタ、マツダ
【画像ギャラリー】リトラクタブルヘッドライトってやっぱりかっこいい!!(13枚)画像ギャラリー今さらながら…数多くの“日本初”を採用したトヨタ 2000GTはやっぱりスゴい!
![いま見るとエモすぎる! 絶滅したのが惜しまれる[リトラクタブルヘッドライト]搭載車4選](https://img.bestcarweb.jp/wp-content/uploads/2025/04/13011650/2000gt_001-600x321.jpg)
国産車で初めてリトラクタブルヘッドライトを採用したモデルは、1967年5月に発売されたトヨタ 2000GT。
1960年代は世界中でさまざまなスポーツカーが数多く誕生したが、トヨタもその流れを汲むべく、1964年の第2回日本グランプリ終了後からヤマハの協力を得て高性能グランツーリスモの開発に着手し、トヨタ 2000GTは誕生した。
その特徴は社内デザインによって生み出された、空気抵抗を極端に減らした車高が低いクーペボディだろう。
まずはエンジン、シャシー、室内寸法などの位置と大きさを決め、それを理想的な形状で包んだボディは唯一無二の仕上がり。
前面面積を減らすために、ノーズ先端も面というよりは線をイメージしたデザインとなっており、それにあわせるべくヘッドライトもそれまでの国産車には前例がなかったリトラクタブルヘッドライトが採用された。
そんなトヨタ 2000GTの流麗なフォルムは世界的にも評価され、映画『007は二度死ぬ』ではジェームス・ボンドの愛車として登場。アストンマーチンをはじめとする欧米の名車とならび、大きな注目を集めた。
加えて最高速度220km/h、最高巡航速度205km/h、0-400m加速15.9秒、0-100km/h加速8.6秒という世界トップレベルの動力性能もトヨタ 2000GTの特筆点。
1966年10月1日から3昼夜にわたって行われたJAFとFIAのルールによる超高速耐久トライアルでは平均時速206.18km/h、連続走行78時間、1万6000kmを走破して3つの世界新と13の国際新記録も樹立している。
今さら説明するまでもないだろうが、トヨタ 2000GTはリトラクタブルヘッドライトの他にも直6 DOHCの2000㏄エンジン、ダブルウィッシュボーン/コイルの4輪独立懸架、4輪ディスクブレーキ、4輪マグネシウム合金製ホイールなど、日本の量産車としては初めて採用するものが満載だったことも付け加えておきたい。
初代モデルから一貫してリトラを採用し続けたRX-7
1970年のトヨタ 2000GT生産終了以来、しばらくの間はリトラクタブルヘッドライト搭載車両が途絶えていたが、その沈黙を破ったのが1978年3月にデビューしたサバンナRX-7。
軽量小型のロータリーエンジン搭載を象徴するかのような低いボンネットフードを採用したサバンナRX-7は、空気抵抗係数(Cd値))も0.36という空気抵抗の少ない優れた数値を実現。
これを実現したのが点灯時のみヘッドランプがボンネット先端に顔を出すリトラクタブルヘッドライトであり、“このクルマが特別である”ということをいっそう強調する大きな特徴となったことは言うまでもない。
サバンナRX-7はその後、7年半にわたって生産が続けたれたが、1985年10月にフルモデルチェンジで、より高次元のスポーツカーへと進化。
先代が採用したリトラクタブルヘッドライトを継承しつつもエクステリアデザインは大きく進化し、エンジンも従来の12A型から13B型へと変更。
排気量654cc×2の2ローターロータリーの13B型エンジンは空冷インタークーラー付ツインスクロールターボチャージャーを装備して、さらにスポーツ色が強められた。
そして、1991年12月には国産車としては最後のリトラクタブルヘッドライト搭載車両となった3代目のRX-7が登場。
RX-7として初めて3ナンバー専用車体を採用した3代目は、全長・ホイールベース・全高は2代目から小さくなっていたが、全幅を3ナンバー枠に広げることでより低い姿勢で走行安定性を追求するとともに、運動性の向上を目指した。
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