マイルドハイブリッドは必要か?
■スバルのマイルドハイブリッド e-BOXER
■スイフトのマイルドハイブリッド
こうなると、なにもマイルドハイブリッドではなくて、ストロングハイブリッドがあればいいじゃないか、と思う人もいるでしょう。
はたしてマイルドハイブリッドは必要なものなのでしょうか?
ハイブリッドやEVで強い力や電動での長い走行距離が欲しい場合は、現在の技術ではバッテリーを大きくする以外に方法はありません。
そしてバッテリーを大きくすれば当然のように重量が増します。バッテリーの重量が増えれば、各種の性能に悪影響を及ぼします。
それを克服するにはさらにバッテリーを大きくして……という悪循環に陥ります。そこで、適当なところでバランスを取るわけです。
そのバランスの取り方でバッテリーがかなり小さい状態、モーターもそれにともなって小さなものとしたのがマイルドハイブリッドと考えればいいでしょう。
ストロングハイブリッドにするためにバッテリーを大きくすれば、当然のように室内空間を圧迫します。
しかし、マイルドハイブリッドならバッテリーもモーターも小さくて済みますので、室内空間への圧迫は少なくて済みます。ですので軽自動車やコンパクトカーではマイルドハイブリッドが使われる傾向があります。
■主なマイルドハイブリッド搭載車
●スズキ:スイフト、イグニス、クロスビー、ソリオ、ソリオバンデット、スペーシア、スペーシアカスタム、スペーシアギア、ワゴンR、ワゴンR スティングレー
※スイフト、ソリオ、ソリオバンデッドはマイルドハイブリッドとフルハイブリッドを両方とも設定
●日産:セレナ、デイズ
●スバル:XV/フォレスター
●三菱:ekワゴン&ekクロス
マイルドハイブリッドはどんなメリットがあるのか?
ではマイルドハイブリッドはユーザーにとってメリットがあるか? という面を検証していきましょう。
まず、動力性能をはじめとしたドライバビリティを考えます。ストロングハイブリッド、マイルドハイブリッド、ピュアエンジンという3種のパワーユニットを備えるスイフトを例にします。
幸いなことにスイフトは同じ1.2Lエンジン使って、3種のパワーユニットを作っているので比較サンプルとしては最良と言えます。
なおスイフトはストロングハイブリッドといってもさほど大きなバッテリーを積んでいるわけではないので、重量増もわずかで室内空間への影響もラゲッジスペース容量の差程度に収まっています。
ベースとなる1.2Lエンジンは91ps/12.0kgmを発生します。エンジンだけでも軽快な走りができますが、ここにISGと言われる装置が付いたマイルドハイブリッドになるとさらに走りがよくなります。
ISGはオルタネーターをモーター&ジェネレーターとして使うような機構です。スペックは3.1ps/5.1kgmとかなり低いのですが、発進時などではアシストが効きちょっとした力強さを感じられます。
ストロングハイブリッドは13.6ps/3.1kgmのスペックを持ちます。ISGに比べると明らかにパワフルで力強い印象です。
ピュアエンジンとマイルドハイブリッドはミッションにCVTを使っています(ピュアエンジンにはMTもあり)が、ストロングハイブリッドはAGSというマニュアルミッションベースの2ペダルATを採用します。
パワーユニットの力強さはもちろんなのですが、CVTよりもダイレクトな伝達フィールがあるので力強さはより増幅しています。
JC08モード燃費を比べてみると下記のようになっています。
●各パワートレインのJC08モード燃費
■ピュアエンジン RS(CVT) 24.0km/L
■マイルドハイブリッド ハイブリッドRS(CVT) 27.4km/L
■ストロングハイブリッド ハイブリッドSL(ASG) 32.0km/L
これだけみるとストロングハイブリッドはかなりの魅力ですが、車両本体価格はストロングハイブリッドが高いという事実があります。各車の価格は下記のようになります。
●スイフトの各パワートレインの価格
■ピュアエンジン RS(CVT) 172万1500円
■マイルドハイブリッド ハイブリッドRS(CVT) 182万0500円
■ストロングハイブリッド ハイブリッドSL(ASG) 198万5500円
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