もう新車で買えないけど…GRヤリス希少グレード存在したワケ

もう新車で買えないけど…GRヤリス希少グレード存在したワケ

 GRヤリスといえば1.6Lターボに4WD!! と思っている人が多いハズ。でも発売当初はNAエンジン、しかもFFのグレードが存在したのだ。マイチェンで終売となったが、なんでRSグレードが存在したのか!?!?

文:デグナー12(Team Gori)/写真:トヨタ

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■エンジンは1.5LのNAだがボディは4WDモデル譲り

GRヤリスRSのルーフもRZと同じカーボン製を採用
GRヤリスRSのルーフもRZと同じカーボン製を採用

 FFモデルのグレード名はRS。4WDモデルのGRヤリスとの大きな違いはエンジンと駆動方式にある。RZが搭載するエンジンは1.6Lのターボエンジンに対し、RSのエンジンは1.5Lの自然吸気。フツーのヤリスと同じエンジンを搭載している。駆動方式もFFのCVT(10段)のみ。

 単純に動力機構だけに注目すれば、GRの名を冠する割にはパンチのない印象を受ける。しかし、GRヤリスRSの魅力はおとなしい動力性能に対してオーバークオリティともいえるボディにあるのだ。GRヤリスはトヨタが世界ラリー選手権(WRC)に投入するマシンのためのホモロゲーションモデルであったことはご存じの人も多いことだろう。

 それゆえ高剛性ボディに加え、外装部分であるボンネット、左右ドア、リアゲートのアルミ化、ルーフに至ってはカーボン製を採用するなど、軽量化にこだわった点がGRヤリスの魅力のひとつでもある。

トルクが太いとはいえない1.5Lエンジンだが、10段のダイレクトCVTがトルク不足を補っている
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■動力性能にこだわらなければお買い得なRS

トルクが太いとはいえない1.5Lエンジンだが、10段のダイレクトCVTがトルク不足を補っている
トルクが太いとはいえない1.5Lエンジンだが、10段のダイレクトCVTがトルク不足を補っている

 そんな贅沢なボディであるクルマが発売当初は265万円と、RZの396万円に比べて130万円以上も安い。ちなみに中古車の相場も概ね新車価格に準じた価格差となっている。値段の話をするなら4WDモデルのRCグレードもあるが、街乗りメインのユーザーにとっては競技車両ベースのクルマより、いろいろな快適装備がついたRSの方がいい場合も。

 ブレーキはRZよりも小径となる15インチのフローティングキャリパー仕様で、パーキングブレーキも電動。その点ではスポーツ走行には不向きだが、燃料はレギュラー仕様で、ハイオク仕様のRZやRCよりも経済的。そういう意味ではGRヤリスのルックスが好きな人にとっては安価で燃費もいいRSの選択も十分ありだろう。

 また、後にRSにはライトパッケージも登場。ホイールの変更(エンケイ製鋳造からBBS製鍛造)やスタビライザーの非装着で20kg軽量化され、1110kgの車重を実現している。通常のヤリスより重いが、スポーツカーでも年々重量が増す中では優秀な数値ではないだろうか。

 そんなGRヤリスRSも2024年4月のマイナーチェンジで消滅。発売当初はWRC参戦のホモロゲーション取得にあたり、生産台数を確保するための廉価版と言われたこともあったが、AT免許の人や街乗りメインの人でも選びやすいGRモデルを担ったという意味では意義深いグレードだったのではないだろうか。

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