市販車ではある程度のサイクルで行われるモデルチェンジだが、本来は進化であるはずのモデルチェンジが逆方向に進んでしまうケースもある。今回はそうしたモデルチェンジで迷走したクルマを紹介しよう。
文/長谷川 敦、写真/トヨタ、ホンダ、日産、三菱、CarWp.com
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工業技術が盛り込まれた市販車は、技術の進歩に伴ってリニューアルが行われる。
もちろん技術面だけではなく、マーケティング面においてもクルマをモデルチェンジする必要があり、そうしないとユーザーに飽きられてしまう可能性も少なくない。
だが、先代からの正常進化はともかく、大胆なモデルチェンジを実施した場合、それが成功することもあれば失敗してしまうケースもある。
特にモデルチェンジが失敗に終わった場合、それがモデルの終了につながる危険性も高い。
今回とりあげるのは、大幅なモデルチェンジを行った結果、新規ユーザーを獲得できないばかりか、既存オーナーの不評も買ってしまった不幸なクルマたちだ。
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●三菱 パジェロ
国産SUV(かつてはRVと呼称)の先駆けとして1982年に登場し、一時期は国産4輪駆動車の代表的存在になったのが三菱のパジェロ。
当初から4輪駆動(4WD)を採用して、過酷さで知られるパリ‐ダカールラリーでも活躍したことから、1990年代のRVブームを引っ張る存在になった。
そのパジェロは、1982年デビューの初代と1991年の2代目は共通のボディイメージを持っていたが、1999年発売の3代目では大きな変更を行った。
これがもうひとつウケが悪く、2006年のモデルチェンジではさらに初代のイメージから離れてしまった。
結局このモデルチェンジは裏目に出て、名車と呼ばれたパジェロは4代目をもって2021年にその歴史を終えることになった。
●ホンダ CR-X
ホンダが1983年に発売したFFスポーツモデルがCR-X。
当初はバラードスポーツCR-Xとして発売され、スタイリッシュなファストバックスタイルのボディもあいまって高い人気を集めた。
1987年には2代目が登場するが、この2代目は先代のイメージを継承していて、市場には正常進化であることをアピールした。
だが、「デルソル」の名称が加えられた1992年登場の3代目では、開閉式トップを装備した独特な形状に生まれ変わった。
当然ながらこの大変更には賛否両論が巻き起こり、どちらかいうと否のほうが増えてしまった。
結局3代目CR-Xの販売は伸びず、この3代目をもって1999年にCR-Xシリーズの生産が終了となった。
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●トヨタ カムリ
日本国内で4ドアセダンが高い人気を集めていた1980年にトヨタから中型セダンのカムリが登場した。
当初はセリカ・カムリの名称で販売されていたように、セリカのセダン版であり、販売期間も2年と短かった。
1982年登場の2代目からはカムリの単独ネームになり、先代よりもサイズが拡大された。
以降は3~4代目と全長が伸び、7代目(2001年)ではついに全長が4800mmをオーバーし、すでに中型とは呼べないサイズになった。
この頃から日本では4ドアセダンの人気も低下し、カムリの存在はやや中途半端なものになってしまった。
そして現在は日本での販売が終了し、海外では高級セダンの仲間入りを果たしている。
カムリのモデルチェンジは失敗とは言い切れないが、初代とはまったく異なるクルマになったのは間違いなく、それが国内での販売終了につながっている。
●ホンダ オデッセイ
ミニバンといえば背が高く、大人数が乗れて荷物の積載量が多いというイメージがある。
しかし、1994年に販売が開始されたホンダのオデッセイは、乗用車をベースにして価格を抑えたことと、従来のミニバンより低めのスタイルが人気の要因となり、予想を大きく上回るヒットモデルになった。
乗車位置が低いものの、室内空間は大きくとられ、さらに低重心が生む良好な操縦性がオデッセイの魅力となり、低ルーフのミニバンというジャンルを確立してしまうほどの人気を集めた。
オデッセイの低ルーフコンセプトは4代目まで継承されたが、2013年に登場した5代目では全高が高くなり、オデッセイのアイデンティティでもあった低ルーフは終わりを告げることになった。
これまでとは異なり、ごく一般的なスタイルに変化した5代目オデッセイに既存のファンが納得するはずはなく、販売業績を伸ばすことには失敗した。
その結果、日本国内でのオデッセイの歴史は2022年にいったん幕を下ろすことになる。
国内生産も終了になったが、再販を望む声も多く、2023年12月に中国で製造しているモデルを日本に輸入するかたちで販売が再開された。
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