ダイムラー・トラックは北米市場向けの大型トラック「カスケイディア」のモデルチェンジを発表した。カスケイディアは新型で第5世代となり、先進安全機能、燃費と空力性能、インテリジェントなビジネスツールなどを強化した。
米国のクラス8トラックとして初めて累計販売台数100万台を突破したベストセラーモデルは、第5世代でも北米のオンハイウェイ市場の伝統を受け継ぎ、2025年の半ばより米国とメキシコの工場で製造開始を予定している。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Daimler Truck AG
フレイトライナー「カスケイディア」が第5世代に
ダイムラー・トラックの北米向けブランドであり、米国の長距離大型トラックのトップメーカーであるフレイトライナーは2024年10月15日、大型トラック「カスケイディア」のモデルチェンジを発表した。カスケイディアは新型で第5世代となる。
同車は北米の重量車区分で最も重い「クラス8」のベストセラートラックで、新世代では安全性、効率、収益性において新たな基準を打ち立てるという。フレイトライナーの米国およびメキシコの工場で、2025年半ばに製造を開始する予定だ。
ダイムラー・トラック・ノース・アメリカ(DTNA)の社長兼CEOのジョン・オリアリー氏は、プレスリリースにおいて次のようにコメントしている。
「フレイトライナー・カスケイディアの最初の世代をローンチして、間もなく20年になります。米国のクラス8トラックとして初めて累計販売台数が100万台を突破し、現在北米でもっとも多く走行している大型トラックになりました。
その最新バージョンは、ディーラー、運送会社、ドライバーを対象にした大規模な市場調査に基づき彼らのニーズを反映し、素晴らしい伝統をさらに発展させました。新世代のカスケイディアは、まさに新水準を確立します。すなわち、より多くの安全機能、優れた効率、多くの収益をお客様にもたらすトラックです」。
安心をもたらす高度な安全機能
第5世代カスケイディアは安全機能スイートとして「デトロイト・アシュアランス」を拡張した。車載コンピュータの演算能力が向上し、カメラもアップグレードされた。4基の短距離レーダーは新型となり、1基の長距離レーダーにも改善を施した。
これにより新型カスケイディアではドライバーの保護とともに、他の交通への加害性を低減するなど安全性能を強化した(ダイムラーグループのADAS機能として「ABA6」「ALA2」「Attentive Driver Protection」「SGA2」などを搭載する)。
中でも全く新しいのが「インテリジェント・ブレーキング・コントロール・システム(IBCS)」だ。これは、制動力の配分、ライニングの摩耗制御、ブレーキパフォーマンスのモニタリングなどを提供し、特に急ブレーキをかけた際によりスムーズで確実な制動を実現するという。
併せて摩耗の均一化によりブレーキパッドの寿命も延びるように設計されている。また、IBCSに含まれる「エンデュランス・ブレーキング」はブレーキペダルを踏んだ時に、サービスブレーキとエンジンリターダの制動力をシームレスにブレンドする技術で、ブレーキ摩耗をさらに減らすことができる。
電動パーキングブレーキも一新され、ロールアウェイ(パーキングブレーキのかけ忘れ等による逸走)の緩和に役立つ。
また、デュアルステージ・インテリジェントLEDヘッドライトも新しい装備だ。ヘッドライトの耐久性と耐衝撃性が向上し、付着した氷も数分で溶かすそうだ。ビームパターンも拡大され「自動ハイビーム」機能を搭載、ヘッドライトのビーム調整が簡単になったことで視認性と安全性、運転時の快適性が向上する。
さらに、第5世代カスケイディアではミラーカム(リアビューミラーに変わるカメラ&モニターシステム)が工場出荷時から取り付けられる。ただし、(おそらく法規対応のため)従来のミラーも残されている。
ドア上部のカメラは広い視野を提供するとともに、夜間用に赤外線技術を搭載し、雨や汚れをはじく疎水性コーティングが施されている。ミラーカムはとりわけ夜間や悪天候時の視認性を向上する装備だが、ドライバーの頭や首の動きを最小限に抑えることで疲労を軽減し快適な運転を維持する効果もある。