日産の大ピンチ史(TEXT/諸星陽一)
幾度となく訪れた日産のピンチ。最初の大きな波は1953年。1949年に行われた大規模リストラに反発する労組は経営側に強く反発。1953年には労使の対立は後戻りができない状態であった。
経営側は打開策として第二組合(組合の名は名乗るものの、実質は本質的な労組を解体するための組織である)により労組を圧迫。そして経営側が勝利する。
この第二組合を率いた人物が塩路一郎である。塩路は社内で大きな権力を握り、その影響力は経営にも波及。自身の利益のために行った方針が日産に大きな損失をもたらしたという。
塩路がまだ日産で権力を維持していた時代の1977年に石原俊が社長に就任する。石原は世界シェア10%を目指す「グローバル10」戦略を打ち出すが、塩路はこれに反対し圧力をかける。
しかし石原は「グローバル10」を強行し欧米に進出、工場の新設など巨額の投資を行うが、バブル景気の終息などもあり「グローバル10」は失敗。
倒産寸前の瀕死状態まで追い込まれた日産は1999年にフランスのルノーと提携することで命を繋ぐ。ルノーは日産の株式36.8%を取得し経営権を掌握。ルノー傘下となり、カルロス・ゴーンが日産に送り込まれた。
ゴーンが掲げた「日産リバイバルプラン」は、東京の村山工場の閉鎖や2万人以上におよぶ大規模なリストラを敢行。そのほか売れるものを売り切り2003年には約2兆円と言われた有利子負債をすべて返済した。
ゴーン体制は華麗なる復活劇に思えたが、2018年に事態は急転。カルロス・ゴーン逮捕の報道が流れた。逮捕、拘留されていたゴーンは仮釈放時にレバノンに逃亡。世界的大企業の代表が逮捕されただけでも大ニュースであったが、さらに国外逃亡という汚点まで付いてしまった。
2019年12月初頭にはゴーンの独裁経営を反省するということから、内田誠、アシュワニ・グプタ、関潤の3人によるグループ経営「三頭体制」を発表するが、同年12月25日に関潤が退職、2023年7月にはグプタが退職した。
そして2024年11月。2024年度上半期の営業利益が前年同期比90%減という日産の衝撃発表で世間は驚愕。経営立て直しのために生産能力を20%減、9000人規模のリストラという案を打ち出す。
* * *
幾度となく訪れたピンチを乗り切った日産だけに、今度も驚くような方法で乗り切ってくれることに期待したい。(文中敬称略)
【画像ギャラリー】一難去ってまた一難!! 頼むからファンを安心させてくれ!! 日産が直面するピンチとこれからの日産(44枚)画像ギャラリー2024年に登場した世界の日産車
2024年に世界で投入された主要な新モデルをまとめてみた。日本だけをみれば細々とした改良やモデル追加ばかりが目立つが、海外ではパトロールやキックス、ムラーノといった戦略上重要なモデルの全面刷新も敢行している。今後も新車の投入が大きなカギを握る。
●2024年3月8日発表(日本)アリアNISMO
引き締めた足や435psのモーター、専用ドライブモードを備えた激速SUV。開発には901運動期のマイスターも参加。
●2024年2月7日発表(欧州日産)インタースター
欧州市場向けの大型商用車。パワートレーンはディーゼルとEVの2種。
●2024年2月12日発売(日本)クリッパーEV
基本的には三菱 ミニキャブEVのOEM版。最大航続距離は180km、積載量は350kg。
●2024年3月22日 モデル追加(日本)アトラスダブルキャブなど
一部改良とともにダブルキャブや1.55tモデルを追加。また10月には普通免許対応モデルも発売した。
●2024年3月25日発表(北米)新型キックス
世界に先駆け、北米市場でフルモデルチェンジを発表。エクステリアのデザインモチーフは“高級スニーカー”。
●2024年5月〜7月発表(日本)ノート オーテッククロスオーバー/ノート オーラ/ノート オーラNISMO(マイナーチェンジ)
2023年末にマイナーチェンジを受けた基準車に続き、オーラとオーラNISMO、クロスオーバーもマイナーチェンジを受けた。オーラNISMOに追加された4WDモデルは、高出力化したリアモーターがユニークな走行感覚を生み出している。
●2024年3月25日発表(北米)インフィニティQX80
フラッグシップの3列SUV。QX80名になって初のフルモデルチェンジ。450psの3.5L、V6ツインターボを搭載する。
●2024年7月31日発表(日本)キャラバンMY ROOM
●2024年10月1日発表(日本)NV200バネットMY ROOM
キャラバンをベースに、貨物スペースを小さな居室空間のように架装した、日産の新提案がマイルーム。バネットにも設定されている。
●2024年3月14日発表(日本)GT-R 2025年モデル
●2024年11月8日発表(日本)フェアレディZ 2025年モデル
日産スポーツの二枚看板も最新モデルに進化。GT-Rはこれで最後の改良となる見込みで、2025年に生産終了が予定されている。
●2024年10月4日発売(インド)マグナイト(マイナーチェンジ)
インド・アフリカ・中東向けのコンパクトSUV。1LターボユニットにMTまたはCVTを組み合わせる。
●2024年10月3日発表(日本)セレナe-POWER e-4ORCE(追加)
FFのみだったセレナのe-POWER版に、4WDのe-4ORCEが加わった。通常モデルに加えオーテック系特装車にも設定。
●2024年9月4日発表(中東日産)新型パトロール
中東などで絶大な支持を誇る大型4WDもフルモデルチェンジで7世代目へ。
●2024年10月17日発表(北米など)新型ムラーノ
日本では2代で絶版となったムラーノだが海外では健在。今回のフルモデルチェンジで4代目へと移行。
【画像ギャラリー】一難去ってまた一難!! 頼むからファンを安心させてくれ!! 日産が直面するピンチとこれからの日産(44枚)画像ギャラリー















































コメント
コメントの使い方ホンダは、売れる車はあるが限られる(フリードやNBox)。日産は、売れる車がない。
正直言って、過去の日産のユーザーから思う事だが、買いたい車がない。
日産は需要が過ぎた時期に、やっと商品を出している。
「出前の遅い蕎麦屋」になっている。
昨日よりホンダが日産に対し子会社化を提案したのは、ルノ-が保有株を高く買い取れと言う条件押し付けてきたため、三部社長がそれならと、内田社長側が統合撤回するように、子会社化を提案したと見る。
この先日産は再びル-ノ傘下に戻るか、はたまた鴻海か?いずれにせよこの先、自力では再生は無理であることは確かだ。
買いたい車が無いってコメントを度々見るのが、全てかな。
この車買ったら楽しいだろうなあ、とか、楽だろうなあ、とか。
車に興味ない人はトヨタを選ぶのが大半なので、同じ土俵で勝負してもしょうがない。
消費者の側ももっと勉強しないとね
他社のつまらない車が人気とはね
売り方を考えてディラーの方々にもっと勉強しないとね
僕はしょっちゅう日産本車ギャラリーに行き提案感想を語ってます
エンジン止まってしまうような会社が欲だして子会社化とかよく言い出したな。
本日日産がホンダとの統合撤回するという情報が流れた。ホンダにすれば何で日産を救わなければいけないのか問う不満モリモリ。だから意図的に日産のメンツを踏みにじるような子会社発言で日産ゆすぶった。何度も言うが、自動車雑誌諸氏も日産見捨てるような記事書かないといつまでもこの企業自立しませんよ。内田と星野を辞めさせる記事、書こうよ
ホンダが日産に対し、子会社にを提案した。とにかく日産立ち直るのには、内田と星野を辞めさせない限り無駄!関さんの再登場のみ
三菱自は悪いことは謂わぬ、ホンダ日産との統合不参加で良い。将来危機が来た場合、前回の時と同様、トヨタに援助してもらえばよい
合同記者会見で三菱自の社長のみ記者会見しなかった。そればかりか会見終了直後、3社の社長の握手すらなかったのはいかに。すでにバラバラ。日産よ困ったら、他社に泣きつくのは、およしなさい
1953年当時、どこの自動車メ-カ-も労働争議に明け暮れていました。日産だけではなくトヨタも。日産と同じように第2労働組合なるものが豊田英二さんの命で下され、一部の従業員(さつき会)が奔走し勝ち取りました。しかし、当時の旗ふった人は現場従業員で、後々も権力を持たなかった。ここがトヨタの日産の違いです。
文中に出てくる技術の日産って、どんな技術があるんだろうか?トヨタのHvよりすごい技術がe-POWERですか?リーフのBEV?これらにどこに先進の技術があるんでしょうかね?まだあなたたちは日産よいっしょ記事ばかり書くから日産が努力もせず、益々ダメになっていくんですよ。叱咤激励という言葉あります。