衝撃の決算発表に業界震撼!! [日産]に何が起きているのか?

日産の期待できる最新技術(TEXT/西村直人)

●BEV/e-POWER

2010年に初代リーフを市販開始した日産のEVに関するデータの蓄積は膨大
2010年に初代リーフを市販開始した日産のEVに関するデータの蓄積は膨大

 “技術の日産”を語るうえで外せないBEV。リーフオーナーから得た情報は累計走行距離280億km分に及ぶ。全固体電池の実用化(2022年4月に試作生産設備を公開)にも前のめり。

 e-POWERの世界生産台数は150万台以上。ホンダe:HEVと比較して二次バッテリーからの出力が大きいため加速が力強い。第2世代e-POWERには直列3気筒1.4Lのe-POWER専用エンジンとの組み合わせもある。

●VCターボe-POWER

 VCとはVariable Compression(可変圧縮)エンジンのこと。これにターボを組み合わせたVCターボの技術トピックはふたつ。

(1)圧縮比を8:1(高性能)から14:1(高効率)の間で自在に変更可能。アクセルを深く踏み込むと8:1になり、ターボの過給圧を上げて出力とトルクを大きくする。逆に出力が必要ない場合には14:1を保ち、過給に頼らず燃費数値を向上。

(2)同排気量エンジンと比較して騒音や振動が少なく滑らかに回転。要はマルチリンク可変圧縮機構だ。

 e-POWER×VCターボの目的は発電能力を高めるため。e-POWERの1.2L(セレナは1.4L)はいずれもNA。よって発電トルク増大にはエンジン回転を高める必要があった。

 エクストレイルの直3の1.5L・VCターボとe-POWERの組み合わせでは、その弱点をVCターボの豊かなトルクでカバー。低圧縮比モードではターボの過給効果を積極的に活用し、エンジン回転数を高めずに発電用モーターが求めるトルクを獲得。結果、電動駆動モーターに充分な電力が供給できる。まさしく夢の共演!

●e-4ORCE

日産の車両制御技術、4WD技術は昔から定評があるが、その最新がe-4ROCEだ
日産の車両制御技術、4WD技術は昔から定評があるが、その最新がe-4ROCEだ

 日産は「電動化技術」、「4WD制御技術」、「シャシー制御技術」を独立して開発してきたが、3要素×電動駆動の4輪制御技術が不可欠であると判断、結果誕生したのがe-4ORCEだ。

 得られる走行特性はたくさんあるが、特徴的なのが左右カーブの切り返し時。右旋回のヨーが安定したころには次の挙動変化に対する予測が始まる。この瞬間、「直進するのか、どちらかにステアリングを切るのか」とe-4ORCEのシステムがドライバーの意図を汲み取る。なので従順な走り!

●プロパイロットとGTP

 プロパイロットの進化版2.0には「ハンズオフ走行」と「追い越し支援」、「車線変更支援」などが加わる。

 この2.0で培った技術を昇華させ、新たにLiDARセンサーを加えた「グラウンド・トゥルース・パーセプション(GTP)」を2022年4月に公開。「多次元で複雑な事故を回避する運転支援技術」と説明する。

 飛び出した車両を自動操舵で避けて、さらにその先に迫り来る飛び出す歩行者を認識してフルブレーキで回避。

 変化する状況を正確に遅れなく把握して、瞬時の判断で状況にふさわしい回避行動を自律的に行う。交差点での事故回避技術も公開し、2030年までにほぼすべての新型車に搭載すると意気込んでいる。

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日産がホンダに買われる日(TEXT/佃モビリティ総研代表 佃義夫)

有意義な提携にしなければ、世界と互角に戦っていくことはできない
有意義な提携にしなければ、世界と互角に戦っていくことはできない

 「2025年某日、ホンダが日産自動車の買収を発表!」。ありえない話ではない。

 買収まではないとしても、ルノーが保有していた日産株式43.4%がルノー・日産相互に15%ずつ持ち合う資本構成変化合意に基づき、ルノー保有株式28.4%が仏信託会社に移されている分をホンダが引き受ければ、日産の筆頭株主になる可能性もあるのだ。

 2024年3月に発表した、電撃的な「ホンダ・日産提携」は業界を震撼させた。8月には「次世代SDV(ソフトウェア・ディファインド・ビークル)プラットフォームの基礎的要素技術の共同研究契約の締結」を発表するとともに、三菱自動車も加えた3社の戦略的パートナーシップ検討の覚書を締結。

 さらに、車載ソフトウェア領域、バッテリー領域、eアクスル領域、車両の相互補完、国内の充電サービスと資源循環領域の5領域で、具体的に協業していくことを明らかにした。

 興味深いのはホンダ・日産の提携に関し、米オートモーティブニュースがレバノンのカルロス・ゴーンに直接取材して、「これは、ホンダの日産に対する“偽装買収”に発展する」との発言を引き出し、報道していたことだ。

 かつてならば、両社の提携は日産主導なのだろうが、現実的にはすでにホンダが上位となっている。日産の窮状と相まってゴーンの予言(?)が当たらないとは限らないのだ。

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