大誤算!? どんなクルマでも作れば売れる時代に[不人気車への道を爆走した]悲劇のクルマたち

■未来を思わす先鋭的なデザインも人気は長続きせず「トヨタ セラ」

大誤算!? どんなクルマでも作れば売れる時代に[不人気車への道を爆走した]悲劇のクルマたち
まるで小型飛行機のようにキャビンの上半分が透明になっている「グラッシャーキャビン」を採用し、今見ても先進的に思える「トヨタ セラ」のスタイル。そのキャッチフレーズであった「全天候型オープン」をまさに体現するものだった

 どんなクルマでも作れば売れるとまで言われていたバブル景気時代の国内市場。

 その絶頂期とも言える80年代後半から90年代初頭には、今では考えられないほどバラエティに富んだ数多くのクルマが登場し、なかには“珍車”や“迷車”とも言われるものも少なくなかった。

 1990年にリリースされたトヨタの「セラ」も、そんな時代があってこそ生まれた一台だろう。

 ベースとなったのは1987年の第27回東京モーターショーに登場したコンセプトカーである「AXV-II」。

 セラはその市販化モデルとして2年後の1989年に晴海から幕張へと舞台を移した第28回東京モーターショーでお披露目され、翌年の発売とあいなった。

 若者をターゲットしたデザインを追求し、キャビンの上半分がほぼ透明のガラス張りとした未来的なスタイルは、コンセプトカーである「AXV-II」の姿そのまま。

 外から丸見えになる内装も凝った作りが随所に見られ、洒落たエクステリアともども、未来を感じさせる先進的な仕上がりを見せた。

 そしてなんと言っても、このスタイルを実現するために国産の乗用車としては初となるバタフライ(ガルウイング)ドアを採用したことが大きな話題となり、注目を集めることに。

 この先進的なスタイルがウケ、初年度には1万台近い売り上げを見せたセラだが、外から車内が丸見えなうえ夏は暑いという実用面でのネックに加え、全面ガラス張りのキャビンやバタフライドアの重さからくる運動性能の低さもあり、ほどなく不人気車への道を歩むことに。

 その後のバブル崩壊も追い打ちをかけ、後継モデルが登場することもなく、こちらも一代限りで消えることとなってしまった。

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■時代を先取りしすぎた「日産スカイライン クロスオーバー」

 一時のブームこそ鎮静化しつつあるものの、現在販売されているクルマのなかでも高い人気を誇り、新車開発に自動車メーカー各種が力を入れているジャンルがSUVだろう。

 さらに高い実用性と機能性を併せ持ち、街中から遠出をする際のアシまで幅広いシーンで使えるクルマとして支持されるのが、クロスオーバーとも呼ばれる都市型SUVだ。

 そうしたクルマがSUVのなかでもまだまだメジャーではない2009年、プレミアムなスタイルと、昔からのクルマ好きにはおなじみの名前を引っ提げて登場したのが「スカイラインクロスオーダー」だ。

 すでに北米市場で展開されていたインフィニティEX35を国内で導入したもので、それまでのSUVとは一線を画す洗練されたエクステリアとパワフルな走行性能、安全装備を含む様々な先進技術の導入など、そのプレミアムな仕上がりは「スカイライン」の名に相応しいものとなっていた。

 いっぽうで、往年のファンからの反発や、主要なターゲットとされた若年層に対して「スカイライン」のブランドがあまり響かなかったこともあり販売は低迷。

 若年層にはややハードルが高い価格設定や3.7リッターという排気量ゆえの自動車税の高さ、さらにはリーマンショックや東日本大震災の影響による景気後退なども、そうした状況にさらに拍車をかけることになった。

 かつての名車の名を冠したクーペスタイルのSUVが人気を博し、当たり前のことなっている現代なら、間違いなく受け入れられたであろうスカイライン クロスオーバー。

 一代限りでその姿を消したものの、まさに時代を先取りしすぎた名車と言ってもいいだろう。

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