4ドアセダンの人気が減退しているといわれて久しいが、そんな状況でも販売が好調な車種はある。そこで今回は、セダンの特徴や利点をもう一度考えるとともに、魅力的な現行4ドアセダンを見ていくことにしたい。
文/長谷川 敦、写真/アルファロメオ、トヨタ、日産、BMW、ホンダ
【画像ギャラリー】セダンの底力をもっと見る(20枚)画像ギャラリーかつては豊かさの象徴だった?
今回のテーマになっている4ドアセダンをはじめ、ハッチバックやミニバン、SUVなど乗用車にはさまざまなタイプが存在する。
そして4ドアセダンは、日本国内はもとより世界的に乗用車の中心的地位を占めていたのは間違いない。
日本では、1950年代中盤から1970年代にかけての高度経済成長期において4ドアセダンを持つことが人々の目標になり、それに呼応して多彩な4ドアセダンモデルが多くのメーカーから販売された。
4ドアセダンが特にもてはやされたのがいわゆるバブル景気が絶頂にあった1980年代後半~1990年初期だった。
この時期は高級セダンが好調なセールスを記録し、売り上げを見込めるメーカーもセダンの開発に傾注したため技術面での進歩も著しかった。
だが、バブル景気が終焉を迎えると、豪華なセダンよりも実用性の高いワゴンやミニバンなどに人気が移り、高級セダン人気もまたバブルのように弾けてしまった。
もちろん4ドアセダンがこれで絶滅してしまったわけではないが、バブル崩壊から30年以上が経過した現在でも、ハッチバックやミニバンに対して押されている状態にあるのは変わりない。
【画像ギャラリー】セダンの底力をもっと見る(20枚)画像ギャラリー4ドアセダンの魅力はどこにある?
そもそもセダンとはどういう形態のクルマを指すのだろうか?
当然ながら「ココからココまでがセダン」という明確な区切りがあるわけではなく、ハッチバックに近いモデルやSUV的なセダンもある。
基本的には4枚のドアを持つハードトップモデルで、トランク(荷室)と乗用空間が分かれているモデルが4ドアセダンと呼ばれている。
4ドアセダンの利点は乗用空間と荷室が別になっていることによる乗り心地の良さと静粛性の高さにある。
この構造ではボディを含むフレームの剛性を確保しやすく、高い剛性は良好な乗り心地と静かさにつながる。
ミニバンなどに比べて重心が低いのもポイントで、低重心は車体の揺れを減らすため、これもまた乗車時の快適性を向上させる。
見た目に関しては見る人によって評価の分かれるところだが、クルマとしての基本的なスタイルともいえ、高級車も少なくないことから洗練されたデザインのモデルが多い。
そしてかつてほどの勢いはないが、現代でも魅力的な4ドアセダンは多数存在する。
次の項からは“がんばっている”現行4ドアセダンを紹介していこう。
【画像ギャラリー】セダンの底力をもっと見る(20枚)画像ギャラリー伝統に裏づけられた4ドアセダン2車種
●トヨタ クラウン
国産4ドアセダンを語るうえでこのモデルを外すことはできない。
初代モデルは1955年に登場し、当時から現在まで日本の高級4ドアセダンを代表する存在として君臨している。
現行の16代目モデルは2022年に発表。当初はこの16代目から4ドアセダンが廃止になるとのウワサもあったが、実際には2023年末よりセダンの販売が開始されている。
新世代のクラウンセダンは先に登場したクロスオーバーやスポーツと共通するボディデザインを採用しているため、ハッチバック的なシルエットを持っている。
伝統的な後輪駆動を採用するとともに、クラウンシリーズでは初の燃料電池モデル(FCEV)をラインナップしているのも特徴といえる。
発売から1年余りが経過したクラウンセダンだが、その売り上げは好調とのこと。
セダンの人気が衰えている現状にあっても、やはり王者の強さは健在だ。
●ホンダ アコード
現在ではホンダの最高級車両になるのがアコード。
1976年のデビュー当時は3ドアハッチバック車だったアコードだが、翌年には4ドアモデルも追加され、その後は徐々に大型化して、現在では全長4970mm、全幅1860mmという、堂々たる体躯を持つモデルになっている。
2024年に国内販売が開始された現行型は通算11代目にあたり、ホンダの誇るハイブリッドシステムのe:HEVが搭載されている。
上質感の高い外観や内装を持つ現行型アコードに対する評価は上々で、特に海外では人気を集めているが、国内では販売価格が高めなのが難点か?
2025年初夏には安全運転支援システムのHonda SENSING 360+を標準装備するモデルも販売予定のアコードが、今後どこまで販売を伸ばせるかに注目したい。
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