大誤算!? どんなクルマでも作れば売れる時代に[不人気車への道を爆走した]悲劇のクルマたち

大誤算!? どんなクルマでも作れば売れる時代に[不人気車への道を爆走した]悲劇のクルマたち

 毎年、数多くの新型車が登場する自動車市場。その時代にうまくハマり、好調な売り上げを記録する人気車があるいっぽう、ブームに乗り切れず消えていったクルマも数多く存在する。そんな不遇な運命をたどった4台のクルマを振り返ってみよう。

文/井澤利昭、写真/日産、ホンダ、マツダ、CarsWp.com

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■5チャンネル化の黒歴史を象徴する「マツダ クロノス」

大誤算!? どんなクルマでも作れば売れる時代に[不人気車への道を爆走した]悲劇のクルマたち
「カペラ」の後継となるミドルサイズセダンとして、バブル崩壊直前に誕生した「クロノス」。5チャンネル化の悪影響により、マツダを経営危機に追い込むほど国内での販売は苦戦したが、海外市場では「マツダ626」としてある程度の評価を得たという

 バブル景気の絶頂期で大いに盛り上がりを見せた80年代後半から90年代初頭の日本経済。

 当時のマツダもその勢いに乗り、販売チャンネルを5系列にも拡大。目標販売台数を年間100万台に設定するなど、まさにイケイケ状態であった。

 そんな時代のなか、マツダを代表する1台である長年の人気車「カペラ」の後継モデルとして、1991年に登場したミドルサイズの4ドアセダンが「クロノス」だ。

 当時のマツダらしい曲面を多用した美しいボディデザイン、世界最小クラスの新開発V型6気筒エンジンを搭載するなど、クルマとしての仕上がり自体は決して悪くはなかったクロノスだったが、その販売は順調とは言い難いものだった。

 その理由として一番に挙げられたのが、先にも述べた5チャンネル化の影響だ。

 当時、クロノスには共通のプラットフォームを持つモデルが複数用意されていたが、その姉妹車を5つの販売チャンネルに振り分けるため、統一した名前をあえて与えなかった。

 具体的には、MX-6はクロノスと同じ「マツダ」、MS-6及びMS-8は「アンフィニ」、ユーノス500は「ユーノス」、クレフは「オートザム」、プローブ及びテルスターは「オートラマ」という具合。

 これによりクロノスの名が世間には浸透せず、そのことが販売不振につながったというわけだ。

 また税制改変により、かつて5ナンバーであったセダンモデルを3ナンバーサイズとして展開するという流れがあったこの時代。

 クロノスもこの流れに沿った3ナンバーサイズであったが、それに伴い長年愛されてきた「カペラ」の名を捨てたことも仇になった。

 加えて、同時期に訪れたバブル崩壊の煽りをモロに受け、クロノスの販売不振はマツダを経営危機に追い込むほどの深刻な事態にまで発展。

 このマツダの黒歴史とも言える経営危機は、後にその引き金となったクロノスの名を取った「クロノスの悲劇」とも呼ばれることに。

 登場から約4年後の1995年にクロノスは国内での販売を終了。カペラの復活に伴い、その名は一代限りで消滅することとなった。

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■思い切った方向転換が受け入れられなかった「ホンダ CR-X デルソル」

 ホンダらしい硬派なFFライトウェイトスポーツとして、多くのクルマ好きの記憶に残る名車「CR-X」。

 1983年登場の初代「バラードスポーツCR-X」、1987年登場の「サイバースポーツ」こと2代目「CR-X」ともに、走りを重視するユーザーを中心に高い人気を誇っていた。

 そして1992年、その3代目として登場したのが「CR-Xデルソル」だ。

 「デルソル」=スペイン語で「太陽」を意味する名が冠せられた3代目CR-Xは、これまでの硬派なイメージを一新。デートにも使える、おしゃれなオープンカーへと生まれ変わった。

 その最大の特徴は上位モデルに搭載された、電動で自動開閉する「トランストップ」だ。

 今で言うところの電動オープントップをいち早く取り入れたもので、ボタンひとつでルーフの開閉ができる珍しさや、凝りに凝ったその開閉機構も含め、当時大きな話題となった。

 いっぽうで歴代モデルとは異なるナンパなスタイルやリアシートを持たない利便性の低さが、ユーザーから敬遠される要因に。

 トランストップ搭載による車体重量の増加も、それまでCR-Xを支持してきた、走りを重視するユーザーを中心に不評を呼んだ。

 さらにバブル崩壊の煽りを受けて売上のほうも伸び悩み、販売された約7年間の累計登録台数はわずか1万5000台ほどという結果に。

 長年続いた「CR-X」の歴史にも幕を閉じるという残念な結果をもたらすこととなってしまった。

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