クルマのシステムやデバイスが急激に進化している現在、コックピットまわりも大きく変わろうとしている。ヘッドアップディスプレイ搭載車の拡大やタッチパネルの採用など続々と先進装備が搭載されているが、実際の実用性、将来性はどうなる? (本稿は「ベストカー」2013年12月10日号に掲載した記事の再録版となります)
文:国沢光宏、鈴木直也、編集部
■続々と搭載車拡大中! ヘッドアップディスプレイ
今後、コックピットの変化に、大きな影響を与えそうなのが、ヘッドアップディスプレイ。ヘッドアップディスプレイは、フロントウィンドウや車両の前方を見通せる透明のスクリーンにスピードやカーナビなどの情報を投影するシステム。通常のカーナビやスピードメーターなどの表示に比べて視線移動を減らせるメリットがあるのが特徴だ。
国産車では過去に1988年登場のS13型シルビアや1991年デビューの初代クラウンマジェスタにも先代モデルまで設定。現在はプリウスやレクサスのGSとRX、HSに設定されているほか、今月デビューした新型アクセラでも一部のグレードで標準装備するなど採用車種が拡大しているのだ。輸入車ではBMWが1シリーズなど一部を除いてほとんどのモデルに設定している。
さらに、自動車部品大手のデンソーではカーナビのレーンガイダンスだけでなく、センサーが検知した前方の歩行者の存在を知らせる表示を行う大画面ヘッドアップディスプレイを開発しており、2015年頃の製品化を予定しているという。
カーエレクトロニクス市場では今後シェアが拡大すると予想されているヘッドアップディスプレイだが、自動車評論家の飯田裕子氏は今のところ、やや表示の見づらさが気になるという。
「視線を大きく動かさなくていいのはメリットですけど、私のドライビングポジションに合わないのか、見づらい車種があります。調整で見やすくなるのかもしれませんが、見づらいと通常のメーターパネルを見てしまうので、結局ヘッドアップディスプレイの表示を見ないことが多い。今後、ドライバーに合わせて自動でディスプレイの焦点を合わせてくれるような機能ができれば、凄くいいと思います。
ちなみに、新型アクセラの「アクティブ・ドライビング・ディスプレイ」は見やすくて、カーナビの情報も表示してくれるのも便利でよかったですね」。
また、おなじみの国沢光宏氏にはヘッドアップディスプレイの必要性や将来性について聞いてみたところ……。
「目線をズラすことなく必要な情報を入手できることで、戦闘機や攻撃用ヘリコプターから採用を始めた技術。確かにカッコいいけれど、クルマの場合、そこまでのニーズはないと考えます。だからこそ10年以上前から採用されている技術なのに普及しない。今後は自動運転化になるし、走行速度も遅くなる傾向。ただコストアップなしで導入できるのなら、インパネから速度計をなくすことができるなど、面白い展開になると思う」。
確かに今のところ、オプション装着など高いお金を払ってまで装着したいというニーズは少なそう。ただ、安全システムとの連動などが進むと必要性が高まるはず。さらに普及するかは、コストを抑えて標準化されるかどうかがキーになりそうだ。
●後付け用HUDも人気!
後付けの市販品もヘッドアップディスプレイは人気で、パイオニア(本体別で6万3000円)やケンウッドではナビ情報を表示するディスプレイを最新カーナビに設定。カーナビの可能性を広げている。
●ヘッドアップディスプレイを採用している現行車
・レクサス GS
・レクサス RX
・レクサス HS
・トヨタ プリウス
・トヨタ プリウス PHV
・マツダ アクセラ
※輸入車はBMW(1シリーズ、X1、Z4以外のモデル)、アウディA6など
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