ベストカー本誌の過去記事から名企画・歴史的記事をご紹介する「ベストカーアーカイブ」。今回は2013年の企画「日本のクルマの原点回帰」から、「小排気量ターボ(ダウンサイジングターボ)」についてのコラムをプレイバック!(本稿は「ベストカー」2013年12月26日号に掲載した記事の再録版となります)
文:編集部
■小排気量過給エンジンが主流となりつつある欧州車。日本勢は?
いまヨーロッパ車の世界では小排気量過給エンジンがメインストリームだ。
いち早くダウンサイジング過給エンジンを採用したVWは、1.2Lターボで従来の2L NA級の走りを見せるTSIをもはや熟成の域にまで極めているし、BMWだって主流は直4、2Lターボ。プジョーやシトロエンだって1.6Lターボが搭載エンジンの中核となっている。
日本車は完全にこのムーブメントに乗り遅れた印象。1990年代終盤から現在にかけて、日本車の省燃費技術はハイブリッドに傾いていたことが最大の要因だろう。
ハイスピード巡航で長距離を走る使い方が主流のヨーロッパに対し、短距離で街中主体の日本のクルマ環境の違いがあり、日本ではハイブリッドが省燃費には効果的だったためだ。
クリーンディーゼルでも日本車が後れをとったのも同様の理由による。
【画像ギャラリー】ダウンサイジングターボで新時代到来!? セドリック・シティ・マーチが紡いだ「ターボの系譜」への回帰なるか!?【ベストカーアーカイブス2013】(9枚)画像ギャラリー■小排気量ターボはもともと日本車の得意分野だったはず!
現在のような「ダウンサイジングターボ」という呼び方などまったく存在しなかった30年以上前のこと。1980年代の日本車はそれこそターボエンジン百花繚乱状態だったではないか!!
乗用車用ターボエンジンが初めて日本車に搭載されたのは、あまりにも有名すぎるが1979年の430型セドリック/グロリア。
排ガス規制でパワーダウンを余儀なくされたL20型エンジンにターボをドッキングさせることで息を吹き返し、これを号砲にしたかのようにリッターカークラスから2Lクラスまで各メーカー次々とターボエンジンを投入した。
ターボエンジンの認可を渋る運輸省(当時)の説得材料として日産は、「高効率化による燃費の向上がターボ採用の目的」と理由を付けていたが、これはまさに現在のダウンサイジングターボの理屈そのものだった。
1.2Lインタークーラー付きターボで110psを発揮したシティターボIIがデビューしたのは1983年のこと。
1Lターボで85psを発揮したマーチターボが1985年にデビューするなど、小排気量ターボが花盛り。1.5Lターボのサニーやミラージュターボなども登場するなど、日本はターボ先進国となっていた。
その背景にあったのは排気量で区分された自動車税。
特に2000ccを境に倍増する自動車税により、オーバー2L車はまったく普及することはなく一部の高級車のみ。動力性能を高めるために2Lクラスにターボを組み合わせる手法が広まったのだ。
ターボ技術が進化すると、そのスポーティなイメージも手伝って小排気量のいわゆるファミリーカークラスにまでターボは広がりを見せたのだ。
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