日本には必要ない!? 乗り遅れてる!!? マツダ ホンダ…… ダウンサイジングターボの行方【ベストカーアーカイブス2013】

日本には必要ない!? 乗り遅れてる!!? マツダ ホンダ…… ダウンサイジングターボの行方【ベストカーアーカイブス2013】

 自動車評論家であり、プロドライバーでもある国沢光宏氏が、本誌『ベストカー』にてクルマ界の様々な事象に毎号舌鋒鋭く切り込む連載「クルマの達人」。数ある記事の中から、小排気量過給エンジン(ダウンサイジングターボ)の行方についての記事をプレイバック!(本稿は「ベストカー」2013年12月10日号に掲載した記事の再録版となります)

文:国沢光宏

クリーンディーゼル技術「SKYACTIV-D」が大躍進しているマツダ。小排気量過給エンジンなんて必要ない!!?(写真はアクセラ)
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■果たして小排気量過給エンジンはアリなのか? ナシなのか

クリーンディーゼル技術「SKYACTIV-D」が大躍進しているマツダ。小排気量過給エンジンなんて必要ない!!?(写真はアクセラ)
クリーンディーゼル技術「SKYACTIV-D」が大躍進しているマツダ。小排気量過給エンジンなんて必要ない!!?(写真はアクセラ)

 マツダは「小排気量過給エンジンを絶対にやらない!」とエンジンの親分である人見さん(マツダ執行役員パワートレイン開発本部長・人見光夫さん)が言い切っている。

 さらに「3気筒エンジンなんか絶対作らせない!」と言っている役員もいるそうな。

 いっぽう、マツダと密接な関係にあったフォードを見ると、激しい勢いで小排気量過給エンジン路線に向かってます。

 今やアコード級のモンデオまで1L 3気筒エンジンで走らせているほど。過給も3気筒もやらないといっているマツダに実現不可能。

 こうなると気になるのは、果たして小排気量過給エンジンって人見さんのいうとおりダメなのか、というもの。

 可能なかぎり検証してみたい。フォードの最新作である『フィエスタ』の1L 3気筒ターボ搭載車の燃費は、USモードでハイウェイ19.2km/L&シティ13.7km/Lと発表された。

フォード フィエスタ
フォード フィエスタ

 この数字、驚くほどよい。100kg以上軽いミラージュが1L 3気筒エンジン搭載車で18.8km/L&15.8km/Lといった具合。

 フィエスタの1Lターボエンジンと同等の動力性能を持つ1.5L 4気筒エンジン搭載のデミオやヴィッツと比べれば、圧倒的に優れた燃費である。

 また、フォードによれば「3気筒ターボと4気筒ターボなしエンジンの製造コストを比べれば大差ない」。

 参考までに書いておくと、フォードのターボエンジンは基本的にレギュラーガソリン仕様(日本で販売しているエクスプローラーもレギュラー仕様)。燃費が同等なら燃料コストだって同等だ。

 ヨーロッパのメーカーはこぞって小排気量過給路線を進む。

 VWに聞くと「粗悪ガソリンが混じっている国を除けば小排気量過給エンジンでいく」。ボルボも5気筒や6気筒を廃止し、4気筒過給1本に絞っていくという。BMWなどは1.5L 3気筒過給エンジンまで開発してます。

 マツダにかぎらず日本勢だけが出遅れてしまっている感じ(韓国勢すら小排気量過給エンジンをドンドン増やしてきている)。

 日本はターボ技術がないのか?

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■直噴エンジンをベースに開発したら?

輸出仕様シビックに搭載されていた1L 直3ターボ
輸出仕様シビックに搭載されていた1L 直3ターボ

 そんなことないと思う。直噴エンジンをベースに過給したら、案外おもしろいんじゃなかろうか。

 ということを新型アクセラの1.5Lエンジンを見て感じた。このエンジン、コンパクトだし直噴だ。過給したら2.5L級のパワーと、1.8L級の燃費を両立できることだろう。

 人見さんが「お前は破門だ! 勝手にやれ!」と開発を許してくれたらおもしろい。もしかすると過給エンジンをやりたいと直訴する技術者がいないのか?

 また、日本のベストセラーカーであるアクアやプリウスは、トルク変動に敏感なトヨタ方式のハイブリッドなので過給エンジンは無理。直噴でない既存のポート噴射エンジンも燃費を追求できない。

 そう考えると小排気量過給のベースになりそうな日本のエンジンって非常に少なかったりして。強いていえばジュークに搭載されている日産の1.6Lか。こいつをフーガやエルグランドといった2.5L級エンジンの代わりに搭載したらおもしろそう。

 そういった意味じゃマツダの1.5L直噴はポテンシャルあるハズ。ちなみにホンダも直噴エンジンをやっと出してきたかと思ったら、早くも1L 3気筒過給エンジンを開発している。これをアコード級のボディに搭載したり、アコードHV用のパワーユニットにしたらイケるかもしれません。

 欧州勢だけでなくアメリカ勢まで小排気量過給エンジンをドンドン採用している状況を見ていると、日本は乗り遅れていないかしら、と考えてしまう。

(写真、内容はすべて『ベストカー』本誌掲載時のものですが、必要に応じて注釈等を加えている場合があります)

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