2019年に惜しまれつつ国内販売終了となった三菱の名車「パジェロ」。三菱が誇る四輪駆動技術と、ラダーフレームとモノコックを組み合わせた、強靭な「ビルトインラダーフレームモノコック」により、本格的な悪路走破性を発揮しつつ、オンロードでも快適なハンドリングや日常使いに便利なユーティリティを兼ね備えるなど、単なるオフロードモデルとは一線を画す存在であり、まさに唯一無二のクルマだった。
三菱といえば、2024年2月に、ピックアップトラックの「トライトン」が日本再導入となり、話題となっている。高い操作性と多彩なアクティビティに対応するトライトンが脚光を浴びているいまこそ、パジェロも復活させるべきではないだろうか。
文:立花義人、エムスリープロダクション/写真:MITSUBISHI/予想CG:ベストカー編集部
【画像ギャラリー】 これが三菱だ!! オフロード性能を備えたカスタムモデルが展示された東京オートサロン2025の三菱出展車たち(20枚)画像ギャラリー90年代の「RVブーム」を牽引したパジェロ
パジェロが誕生したのは1982年のことだ。本格的なオフロードモデルであるトヨタ「ランドクルーザー」やスズキ「ジムニー」よりも後発となったパジェロだが、三菱自慢の四輪駆動技術に加え、遊び心のあるディテールや乗用車並みの快適な装備を備えていたことで人気を獲得し、1990年代から2000年代にかけての「RVブーム」を牽引した。
しかし、2000年代に入ると、SUV市場の主流がコンパクトなモデルやクロスオーバーモデルへと需要が変化していき、燃費性能や排ガス性能もより高いレベルで求められるように。クリーンディーゼルシステムの導入などにより一定の支持はあったパジェロだが、それも徐々に低下していき、2019年、日本市場から撤退となった。
パジェロ復活は、間違いなく大きな注目を集める
ただいまも、パジェロ復活を望む声は少なくない。往年のファンにとって、パジェロは唯一無二の存在であり、その空白を埋められるのはパジェロ以外にないのだ。
また現在の市場は、日本撤退となった当時とは少し事情が変わってきている。モダンなデザインのクロスオーバーモデルが主流で、本格的なオフロードモデルは、トヨタ「ランドクルーザー」やジープ「ラングラー」など、ごく限られたモデルのみ。流麗で華やかなクロスオーバーデザインのクルマばかりがラインアップされているなかで、無骨なデザインのパジェロは新鮮にみえる、という側面はあるのではないだろうか。本格的なオフロード性能を活かす機会は少なくても、そうしたクルマを所有すること自体がユーザーの満足感を高めてくれる。
また、アウトドアレジャーの需要も依然として高い。アウトドアレジャーに関しては、ブームが失速したとの指摘もあるが、ブームによってアウトドアレジャーの魅力に気づいた人々は少なくなく、そうした人たちのなかには、パジェロに憧れを抱く人は多いはずだ。
2025年1月に開催された東京オートサロン(TAS)では、三菱の新型ピックアップトラック「トライトン」をはじめ、堅牢なオフロード性能を備えたカスタムモデルが展示された。トライトンやデリカD:5、アウトランダーのスタイリングをワイルドにカスタマイズしたモデルや、若者のカルチャーとの融合を意識したデザイン、さらにはアジアクロスカントリーラリー2024に参戦した車両の展示など、オフロード色を前面に押し出したブースとなっていた。
これらの動きは、三菱が再び本格4WD市場に力を入れようとしている兆しとも捉えられる。もしトライトンに採用されているメカニズムをベースにしたパジェロが復活すれば、間違いなく大きな注目を集めることだろう。
コメント
コメントの使い方