ポンピングブレーキはやはり必要
また、自車の制動を後続車に伝える予備制動の意味でも、やはりポンピングブレーキは重要である。
渋滞末尾などではハザードランプを点滅させることがスタンダードとなっているが、渋滞まではしていない場合に、ポンピングブレーキを使用することで、後続車に「あれ? 」と思わせることができる。
運転中は周囲のクルマと会話したり、身振り手振りでコミュニケーションをとることができない。後ろに伝えることは、事故に巻き込まれるのを防ぐために、とても重要なことだ。
前述した「何回もブレーキランプ点灯されるとウザイ」というのは、「自車を意識させる」という意味で、まさにそれが効いている証である。
ポンピングレーキの正しいやり方
ではここで、ABSが介入しない範囲での、ポンピングブレーキの手順を復習しよう。
ポンピングブレーキをするのに理想的なのは、クルマもタイヤも、車両の進行方向とまっすぐになっている状態である。ブレーキペダルを踏んで、クルマの減速感を、身体を使って感じる。
もしタイヤが滑り始めそうな印象を感じたら、ペダルをほんの少しだけ緩める。その動作を繰り返し行って、クルマを停止させる。
停止距離をもっと短くしたい時は、エンジンブレーキも活用する。ブレーキを踏む前に、低いギアへシフトダウンをしてエンジンブレーキを効かせ、減速を始めてからフットブレーキをかけていく。
こうすることで、エンジンブレーキとフットブレーキを併用した、最も安定した制動をすることができる。
まとめ
制動力はタイヤ摩擦円の大きさで決まる。そのため、実は、舵の効きを優先するABS作動よりも、上手なブレーキ操作ができるドライバーの方が、直進ならば制動距離を短くできる可能性はある。
しかし、緊急時に落ち着いてそれができるドライバーは少ないであろう。筆者もとっさにそれをやれる自信はない。
ABSとポンピングブレーキのように、それを代用するテクノロジーが開発されると、「いらないんじゃないか? 」と、つい思ってしまう運転技術は他にもある。
しかし、より安全にクルマを運転するには、こうした先進技術に頼りすぎることなく、自身の運転技術を磨いていくことも必要不可欠だ。あの教習所時代の初心を忘れることなく、安全運転を心がけよう。
コメント
コメントの使い方「ペダルをほんの少しだけ緩める」時、ブレーキのテールランプは消えるのか?