日産[e-POWER]が大ピンチだと!? ホンダの[e:HEV]と比べると評判がイマイチなのはなんで?

日産[e-POWER]が大ピンチだと!? ホンダの[e:HEV]と比べると評判がイマイチなのはなんで?

 結局、破談となった日産とホンダの経営統合だが、両社には経営状態やその理念に加えて技術にも大きな違いがある。それを象徴するのが日産のe-POWERとホンダのe:HEV。今回の一連の報道では、この2つのユニットの違いが白日の下にさらされてしまった……。

※北米でのe-POWERユニットについて一部事実と異なる表現がございました。訂正してお詫び申し上げます

文/長谷川 敦、写真/日産、ホンダ、CarWp.com

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日産苦戦の要因はハイブリッドシステムにあり?

[e-POWER]がここにきて大ピンチ!? なんでホンダの[e:HEV]のほうが高評価なの?
2024年12月に発表されたホンダと日産の経営統合に向けた基本合意だが、2025年2月13日に破談が決まった。写真は12月23日の記者発表の様子

 日産とホンダが袂を分かつ理由はベストカーウェブをはじめとするさまざまなメディアで語られているので、本稿でそれを詳しく書くことはしないが、日産が苦境に陥っているのは事実だ。

 ではなぜ日産が苦境に陥ったのか? その原因もひとつではないはずだが、大きな理由として北米市場での売り上げ低下がある。

 日産車が北米で売れていないのは、同社の持つハイブリッドシステムが当地に適していないからだといわれている。

 その日産製ハイブリッドシステムがe-POWER(イーパワー)で、日本国内では人気と評価を得ている(2024年コンパクトカー売上No.1)ものの、北米ではそもそも展開がない。

 これにはe-POWER特有の理由があって、そのことについては後述する。

 対するホンダのハイブリッドがe:HEV(イー エイチ イー ブイ)と命名されるシステムであり、こちらは全世界で高く評価され、実際にセールスも好調だという。

 一見同じように思える両社のハイブリッドシステムだが、実際にはほぼ根本からの違いがあり、これが売り上げにも影響しているのは事実。

 そこで次項からe-POWERとe:HEVの詳細を見ていくことにし、どうして評価に差がついたのかを考えてみたい。

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日本特化型? の日産e-POWER

 日産のe-POWERが登場したのが2016年。2代目ノートのマイナーチェンジと同タイミングでラインナップに追加された。

 e-POWERは世界で初めて量産コンパクトカーに採用されたシリーズ式ハイブリッドシステムであり、登場するやいなや注目を集めて好調な販売成績を記録した。

 シリーズ式ハイブリッドシステムはそれまでのパラレル式とは異なり、走行用の動力はすべて電動モーターから得るのが特徴だ。

 つまり車体に搭載されるエンジンは発電用であり、少々乱暴にいうとe-POWER搭載車は発電機を積んだ電気自動車ということになる。

 e-POWERのポイントは、通常は走行に使う1.2リッター直列3気筒エンジンを発電用にしたことで、これに電動モーターとバッテリーを組み合わせてハイブリッドシステムを完成させている。

 内燃エンジンにはエネルギー効率に優れた回転数があり、e-POWERでは走行を電動モーターに任せることによって、エンジンを最も燃費の良い回転数で回すことができる。

 そのため燃料消費が抑えられ、結果として高い燃費性能を実現した。

 この特性は電動モーターが得意とする発進~低速走行で顕著に発揮され、いわゆる街乗りで燃料代を抑えることに貢献する。

 だが、e-POWERには高速走行時の燃費が思ったほど良くないという弱点もある。

 パラレル式ハイブリッド車が高速走行では主に内燃エンジンの動力を使うのに対し、e-POWERでは高回転時の効率が落ちてしまう電動モーターで高速も走らねばならず、結果としてハイブリッドでありながら燃費性能が低下してしまう。

 これが時にe-POWERが「街乗り専用」と揶揄されてしまう理由だ。

 低速走行の多い日本、特に都市部ではe-POWERの強みが発揮される。しかし高速で長い距離を走ることの多い北米では高速燃費が良くないはずで、e-POWER車のセールスは苦戦することが予見される。

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