結局、破談となった日産とホンダの経営統合だが、両社には経営状態やその理念に加えて技術にも大きな違いがある。それを象徴するのが日産のe-POWERとホンダのe:HEV。今回の一連の報道では、この2つのユニットの違いが白日の下にさらされてしまった……。
※北米でのe-POWERユニットについて一部事実と異なる表現がございました。訂正してお詫び申し上げます
文/長谷川 敦、写真/日産、ホンダ、CarWp.com
日産苦戦の要因はハイブリッドシステムにあり?
日産とホンダが袂を分かつ理由はベストカーウェブをはじめとするさまざまなメディアで語られているので、本稿でそれを詳しく書くことはしないが、日産が苦境に陥っているのは事実だ。
ではなぜ日産が苦境に陥ったのか? その原因もひとつではないはずだが、大きな理由として北米市場での売り上げ低下がある。
日産車が北米で売れていないのは、同社の持つハイブリッドシステムが当地に適していないからだといわれている。
その日産製ハイブリッドシステムがe-POWER(イーパワー)で、日本国内では人気と評価を得ている(2024年コンパクトカー売上No.1)ものの、北米ではそもそも展開がない。
これにはe-POWER特有の理由があって、そのことについては後述する。
対するホンダのハイブリッドがe:HEV(イー エイチ イー ブイ)と命名されるシステムであり、こちらは全世界で高く評価され、実際にセールスも好調だという。
一見同じように思える両社のハイブリッドシステムだが、実際にはほぼ根本からの違いがあり、これが売り上げにも影響しているのは事実。
そこで次項からe-POWERとe:HEVの詳細を見ていくことにし、どうして評価に差がついたのかを考えてみたい。
【画像ギャラリー】e-POWERがe:HEVに差をつけられている理由とは?(17枚)画像ギャラリー日本特化型? の日産e-POWER
日産のe-POWERが登場したのが2016年。2代目ノートのマイナーチェンジと同タイミングでラインナップに追加された。
e-POWERは世界で初めて量産コンパクトカーに採用されたシリーズ式ハイブリッドシステムであり、登場するやいなや注目を集めて好調な販売成績を記録した。
シリーズ式ハイブリッドシステムはそれまでのパラレル式とは異なり、走行用の動力はすべて電動モーターから得るのが特徴だ。
つまり車体に搭載されるエンジンは発電用であり、少々乱暴にいうとe-POWER搭載車は発電機を積んだ電気自動車ということになる。
e-POWERのポイントは、通常は走行に使う1.2リッター直列3気筒エンジンを発電用にしたことで、これに電動モーターとバッテリーを組み合わせてハイブリッドシステムを完成させている。
内燃エンジンにはエネルギー効率に優れた回転数があり、e-POWERでは走行を電動モーターに任せることによって、エンジンを最も燃費の良い回転数で回すことができる。
そのため燃料消費が抑えられ、結果として高い燃費性能を実現した。
この特性は電動モーターが得意とする発進~低速走行で顕著に発揮され、いわゆる街乗りで燃料代を抑えることに貢献する。
だが、e-POWERには高速走行時の燃費が思ったほど良くないという弱点もある。
パラレル式ハイブリッド車が高速走行では主に内燃エンジンの動力を使うのに対し、e-POWERでは高回転時の効率が落ちてしまう電動モーターで高速も走らねばならず、結果としてハイブリッドでありながら燃費性能が低下してしまう。
これが時にe-POWERが「街乗り専用」と揶揄されてしまう理由だ。
低速走行の多い日本、特に都市部ではe-POWERの強みが発揮される。しかし高速で長い距離を走ることの多い北米では高速燃費が良くないはずで、e-POWER車のセールスは苦戦することが予見される。
【画像ギャラリー】e-POWERがe:HEVに差をつけられている理由とは?(17枚)画像ギャラリー

















![[e-POWER]がここにきて大ピンチ!? なんでホンダの[e:HEV]のほうが高評価なの?](https://img.bestcarweb.jp/wp-content/uploads/2025/02/16114241/02-3-600x399.jpg)
コメント
コメントの使い方日産にはフーガや一世代前のエクストレイルにハイブリッドの設定がありましたよ。
それを活かしきれないで終わってしまっただけで。
それに大半のマスゴミさんは日産は国内を見ていないと書いたり、今度はアメリカを見ていないと書いたり、都合のいいことだけしか書きませんね。
なぜ評判が悪いかって?それはアクセス数を稼ぐために偏った記事を書いて煽るからだよ。それぞれ気に入って買う人がいて商売が成り立っているのに。もっと買う人の参考になるような、期待を持てるような、業界を盛り上げる記事を書いてほしい。先細りの国内自動車業界、選べる車がなくなったら記者の皆さんも飯の食い上げになるよ。
正直シリーズ式ハイブリッドを「ハイブリッド」と呼ぶのは甚だ違和感がある。
動力はモーターだけなので、「レンジエクステンダー」とか「燃料電池車」の方がまだしっくり来る。
(厳密には違うらしい)
日産も「ハイブリッド」でないと売れないと思ったのか、トヨタの「21世紀に間に合いました」に対するアンチテーゼなのか…
(エンジンを発電のみに使用する方式の電気自動車は1900年に試作されその後市販されている)
そもそもホンダのe:HEVの方が日産のe-POWERより評判が良いかと言えば、案外そうでも無いと思います。
悪いと言われた高速燃費がC28セレナe-POWERで改善されており、YouTubeの加速動画ではステップワゴンと比較し加速はe-POWERが速く、最高速が同一という結果でした。
恐らく寸胴型のモーターと偏平型のモーターの効率の差が影響しているのかと思います。
先代ステップワゴンで速さを出せる事は証明してますよ
現行は車格が大きくなったのと乗り心地優先の設定なので先代よりもマイルドな設定になってます
ホンダはできるのにしてないけど、日産は今が限界
先代ステップワゴンの加速動画も見てみたら良いですよ
こっちの方はセレナより速いし燃費も上です
し、何より型落ちです
日産はePowerではCAFE基準を満たすことが出来ないので、北米市場ではePowerモデルは発売していません。 最近北米デビューした新型キックスもCVTモデルのみ。 しかも日産のCVTは故障が多いと言う悪評がたってしまっており、目もあてられない状態。北米市場に出せるハイブランド車がないので日産は失墜した。
日産には、かつて、フーガハイブリッドと言うFRストロングハイブリッドが存在したのだが、ソレを捨てて、後に本格的なストロングハイブリッド技術を開発出来なかったのは、残念と言うより日産の自業自得。
ホンダの犬に乗ってるけど、ハタから見て坂道でのダッシュが全く効いてないと感じた。
矢栗鼠には燃費で1世代分周回遅れだし。
見た目と名前が重要なんかいねぇ。
エネルギ効率の発想は良かったけど
e-powerはエンジン音がネー
もうちょっとバッテリ容量大きくすればほんだには勝てると思う
燃費軸でみるとe-POWER不利ですが、走行性能(シャシー制御)でみると全域において最高ですが。
e-POWERは当初の目論見としては、むしろ大成功だったと思ってます。ただ、そもそもの前提が
「ストロングHVの開発費が巨大で、開発成功しても大きな差額必至なので、既存技術で即出せるe-POWERで短期的な販売数を確保し、その間に本格HVや次世代機構を開発する」
ためのものでした。なのに、せっかく稼いだ期間に本格開発せず、EVも初代リーフから成長できてなかったという取り返しつかないポカ。残念です。
中古でノートE12e-POWERを買ったが、噂通りの燃費(市街地>郊外>高速)で長い登坂路も高速同様で萎えると書き込んだところ、何故か日産党が喚く。こんなところでどんなに喚いても北米で売れないから社運が傾いている訳で、あー何だかなという感想しか出なかった。