多くのヒット車を出す自動車メーカーも、たまに「?」というクルマを生み出すことがある。しかし誰もが首を傾げるようなクルマでも、良いポイントは必ずあるはずだ。ここでは人気の日産 マーチの派生車、マーチBOXを取り上げる。
※本稿は2025年1月のものです
文:フォッケウルフ/写真:日産 ほか
初出:『ベストカー』2025年2月10日号
日産 マーチBOX(1999~2002年)
日産初のリッターカーとして1982年に登場したマーチだが、2022年に生産終了するまでの40年の間に、さまざまな派生モデルが誕生している。
マーチスーパーターボ、カブリオレ、マイクラC+C。いずれもマーチの歴史にその名を刻んだモデルだが、「知る人ぞ知る」モデルが「マーチBOX」だ。
小型車として卓越した完成度で、高く評価された2代目マーチをベースにしながら、ラゲッジ長を240mm延長して荷室スペースを拡大するとともに、アンダーボックス、サイドポケットといった機能をプラスして荷室収納性が向上されている。
リアハッチにはプルハンドルとバックドアハンドルを設定し、後席を片手で操作できる6:4分割ダブルフォールディングリアシートとするなど、ショートワゴンながらワゴンに必須の能力も備えていた。
ホイールベースはベース車と同じだが、リアのオーバーハングが延長されて全長は3980mm。室内は、全高を25mm高めたことで、頭上のスペースに余裕が確保された。
生産期間は約1年半と短く、販売面でも同社のパイクカーシリーズ(Be-1、パオ、フィガロ)のようなヒット作にはなり得ず、総販売台数は1000台にも満たなかった。
台数的には失敗かもしれないが、マーチから譲り受けた洗練されたデザインや取り回しのよさはそのままに、普段の生活からレジャーまで幅広い用途に使えるという特徴は、実用的な小型車を求めるニーズに響いた。
●ここがGOOD!!:制約のある小さなクルマで実用性をとことん追求する姿勢がナイス
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