登場から2年半以上が経過したノア・ヴォクシー。だが2年半が経っても色褪せない、色褪せてほしくない魅力が多分にある。そろそろ改良が施されるという発表があり、既に気持ちがそちらへ向いている人も少なくないだろうが、その前に現行ノア・ヴォクシーの特別な魅力を振り返っていきたい。
文/佐々木 亘:写真/ベストカーWeb編集部・トヨタ
【画像ギャラリー】売れる理由しかないのよノア・ヴォクシー!! これからの進化も待ち遠しい(8枚)画像ギャラリー電動化時代にあえて電気を使わない英断
ノア・ヴォクシー自体は、新世代ハイブリッドシステムを搭載し、先進技術・安全装備が満載の全方位で電動化が目立つクルマなのだが、その細部には、あえて電気を使わずに機能性を高める装備が、多数取り入れられている。
特に、一貫して開発を手掛けたトヨタ車体に拍手を送りたいのが、ユニバーサルステップとフリーストップバックドアの2つ。特にユニバーサルステップは、これまでのミニバンにおけるサイドステップの概念を、大きく覆すものだった。
フロア高を下げて、乗降性を高めるのがミニバン開発の常識だが、フロア高を下げるにも限界がある。そこで、小さな子供や高齢者の乗降性を大きく高めてくれるのが、サイドステップだった。
従来までは、作動用モーターや油圧アクチュエーターを使う電動のモノがほとんどで、オプション価格で10万円を軽く超えてくるもの。それが、ノア・ヴォクシーでは僅か3万3000円で取り付けることができる。
これだけ安価な理由は、何十万円というコストのかかるモーターやアクチュエーターを使っていないためだ。ユニバーサルステップは、パワースライドドアが開くと、ロッカーアームに引かれて自動的に現れる仕組みなのである。
登場も格納も、使っているのはパワースライドドアの動力だけ。ステップ自体は非電動のカラクリ仕掛けなので、超安価でのオプション設定が可能となった。
カラクリ仕掛けはこれにとどまらない。パワーバックドア非搭載車には、フリーストップバックドアが備わる。これはバックドアと車体がコードで繋がり、バックドアを開いている最中に、バックドアをワンプッシュすると任意の位置でバックドアを保持できる仕組みだ。
また、3列目シートの設置・格納が片手で出来る、ワンタッチホールド化もまた、電気を使わずに行われた改革の一つ。先代までのノアヴォク・エスクァイアユーザーは、喉から手が出るほど欲しい機能に違いない。
電気とモーターで操作や動作を簡単にするというのが、昨今の流行りだが、そこに電気を全く使わずコストダウンを図り、有用性を高めることと両立しているノアヴォクの作り込みには、感服させられる。
車両全幅は大きくなった?いや、小さくなっているのだよ
現行型のノア・ヴォクシーから、5ナンバーサイズモデルが廃止され、全車3ナンバーとなった。現行型の全幅は1,730mmと、5ナンバーサイズ時代(1,695mm)と比べれば35mmも拡大しているように見える。
しかし、先代までのノア・ヴォクシーの売れ筋はSi(ノア)やZ(ヴォクシー)のエアロ仕様だった。先代のエアロ仕様の全幅は1,735mmであり、現行型はエアロ仕様でもノーマルでも、先代エアロ比で全幅▲5mmを実現しているのである。
売れ筋モデルで比較すれば、僅かながら小さくなり扱いやすくなった。サイズアップが基本路線である昨今主流のモデルチェンジと比較しても、なんと画期的な判断であろうか。
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