「百年に一度の変革期」に向けて
寺崎:いま「自動車がモビリティへと進化する時代」と言われています。デザインも変化を求められると思いますが、三菱はどのように対応していくのでしょうか?
吉峰:まず思うのは、「モビリティ」というフレーズってものすごく広いですよね。電車やドローン、電動キックボードみたいなものまで入ってきます。これは私の個人的な意見なのですが、一般的に「自動車」と呼ばれるものが、そういったドローンや電動キックボードと共通するデザイン要素ってあるのかな……と思うんですよね。それよりも「一人ひとりのユーザーの個性を大事にする車づくり」をもっと突き詰めたほうがいいんじゃないかと思うんです。
寺崎:なるほど。
吉峰:もちろん分かるんですよ。自動運転技術や電動化が進んでいく中で、クルマに求められるものが変わって、それにともなって必要なデザインが変わってゆくでしょう。ただ「モビリティ社会の到来に合わせて自動車全体の新しいデザインも変わってゆく」というような、大きい話は、小さいクルマから大きいクルマまで、フルラインナップを抱えているような自動車メーカーさんが考えることであって、我々のようなコンパクトなメーカーは、もっと目の前の変化に集中して対応していったほうがいいと思うんです。
寺崎:たしかに、世界中の市場を考えると求められる自動車の姿は大きく異なっていて、たとえばアメリカや日本では電動化や知能化が進みますが、ASEAN諸国や中東、南米市場ではまだまだ内燃機関が主流でしょうし、それぞれの市場で「モビリティに求められるデザイン」というのも違いますよね。
吉峰:はい。ただそのうえで、「移動そのものの楽しさ」がどう変わるのかというのは考えていくべきだと思っています。トライトンに限らず、今後の三菱のデザインは「ファン・トゥ・ドライブ」ではなく、「ファン・トゥ・ムーブ」、つまり「移動すること自体の喜び」を重視していこうと。そのひとつの試みとして、2023年のジャパンモビリティショーで出展した「D:Xコンセプト」というコンセプトカーを出展しました。
寺崎:印象的でしたね。
吉峰:次世代モデルで知能化や電動化が進むと、大事になるのって「内装」だと思うんです。このモデルでも内装のデザインにこだわって、これが三菱自動車の考える次世代モビリティの姿のひとつだと言えるデザインに仕上げました。これからも、「格・鍛・純」の哲学をベースに、新しい三菱デザインを発展させていきます。
寺崎:なるほど、三菱デザインの進化が楽しみですね。最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
吉峰:三菱は「真面目で面白いクルマ作り」を大切にしています。これからも冒険心を刺激するデザインを追求していきますので、ぜひご期待ください!
寺崎:本日はありがとうございました!
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