国内ではなかなか見かけることのない超巨大タイヤ。ブリヂストンが製造する世界最大級のタイヤは直径4メートル!! タイヤ単体で中型トラック1台分ほどの重さにもなる超巨大タイヤは、どのように開発・製造されているのだろうか!?
※本稿は2025年1月のものです
文:ベストカー編集部/写真:レクサス、トヨタ、ホンダ、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2025年2月26日号
ブリヂストンの防府工場で巨大タイヤの試験設備を見学
タイヤの世界は実に奥が深い。乗用車用タイヤについてだけを見ても、まったく底が見えないほど深いのに、バス/トラック用タイヤ、さらには航空機用タイヤなど、特殊な用途のタイヤもあり、そこには乗用車用タイヤでは考えられないような開発技術や生産技術が盛り込まれているのである。
今回、ブリヂストンの防府工場で見学したのは「ORタイヤ」と呼ばれる巨大なタイヤの試験設備だ。
ORとは“Off the Road”のことで、主に鉱山などの掘削現場で使用される特殊用途車両に使用されるタイヤのこと。
【画像ギャラリー】クルマを支えるのはタイヤ……タイヤを支えるのは高い技術!! ブリヂストン防府工場で製造される超巨大タイヤ(16枚)画像ギャラリー直径4mの超巨大タイヤに込められた高い技術
特に海外の鉱山現場で鉱石運搬に使用される総重量625トン級の超大型ダンプトラックなどに装着されるタイヤは、世界でもブリヂストンをはじめ数社でしか製造していないという。
写真の『59/80R63』サイズのタイヤは世界最大級で直径約4m、タイヤ単体で4~5トンの重量があり、内圧600kPaで1本あたり115トン程度の荷重を受け持つのだという。
鉱石を満載した超大型ダンプトラックが走るのは瓦礫交じりの鉱山内の未舗装路。当然坂道もある。稼働効率が最優先される掘削現場なので、タイヤトラブルで車両停止などが頻発してはならない。摩耗に強く、耐久性に優れたタイヤが求められるのだ。
しかも、最新の車両は稼働効率向上のため走行速度がアップしているので、これに対応する技術も求められる。
【画像ギャラリー】クルマを支えるのはタイヤ……タイヤを支えるのは高い技術!! ブリヂストン防府工場で製造される超巨大タイヤ(16枚)画像ギャラリー超過酷な使用環境でも壊れないタイヤを開発
これほどの重量級タイヤともなると、製造設備も当然専用のものが必要だし、開発のための各種試験も重量級タイヤを動かす専用設備が必要となる。
ブリヂストンでは防府工場のほかに下関工場、北九州工場でORタイヤ製造を行っているのだが、海上輸送の利便性に優れた立地が選ばれている。防府工場は比較的小型サイズの生産を担当しているのだが、製造部門とは別にORタイヤ試験センターが設置されており、最大サイズのORタイヤも防府で試験されている。
圧巻だったのが静的荷重試験。巨大プレス機のような試験機が分厚いゴムの塊のようなORタイヤのサイドウォールをしならせ、トレッド面をねじる。
巨大で重量級タイヤなので試験機に設置するにも重機が必要。実際にタイヤを回転させ負荷を与えるドラム試験では試験ゆえに破裂の危険もあるため、試験室は分厚い壁で覆われている。
こうした開発試験を実施して耐久性114%、速度向上105%、許容荷重112%を実現したからこそ、ブリヂストンの巨大ORタイヤ『MASTERCORE』は全世界100もの鉱山で高い信頼を獲得しているのだなぁということを実感した次第である。
【画像ギャラリー】クルマを支えるのはタイヤ……タイヤを支えるのは高い技術!! ブリヂストン防府工場で製造される超巨大タイヤ(16枚)画像ギャラリー
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