ベストカー本誌の過去記事から名企画・歴史的記事をご紹介する「ベストカーアーカイブ」。今回は2013年9月の企画「クルマの微妙な違いをテストで実証」より、「タイヤの空気圧でクルマの走りはどう変わる!?」をプレイバック!(本稿は「ベストカー」2013年9月10日号に掲載した記事の再録版となります)
文:鈴木直也
タイヤの空気圧がクルマの走りも乗り心地もこんなに変わる!
空気圧がタイヤの性能を左右することは常識だ。また、空気圧を変えることで操舵感や乗り心地など体感的なフィールが変化することも、クルマ通ならよく承知している。
しかし、ジムカーナみたいなシチュエーションで、タイヤ空気圧の変化がタイムにどのくらい影響を与えるのか、実は意外に知られていない(ボクも自信がない)。
今回、標準空気圧(240kPa)から上下に25%増減することで、ハンドリングやタイムにどういった変化が生じるのかをテストしてみたわけだが、けっこう興味ぶかい事実が判明したので紹介しよう。
まず、空気圧の増減は体感的な操安フィーリングに大きな影響を及ぼす。25%アップすれば操舵感は軽快になり、レスポンスはシャープになる。逆に25%も落とせば斬り込み初期はどよーんとダルになるし、コーナリング中もなんとなく腰砕け感が生じる。まぁ、これは予想どおりのことで意外性はない。
ところが、このフィール差が必ずしもタイムに直結していないのが面白い。たとえば、ベストラップは前輪が標準/後輪が25%ダウンというセッティングで記録されている。
その理由として考えられるのは、低めの空気圧がむしろトラクション性能に寄与しているという可能性だ。その証拠に、セカンドベストは前後輪とも25%ダウンというセッティング。ドライバーの印象としてはすごくモッサリしているのに、タイムを計測してみるとこれが意外に速いのだ。
ジムカーナでタイムを切り詰めるには、何はなくともトラクションが重要。前後とも空気圧を下げちゃうとスラロームではたしかに遅れが生じるのだが、そのぶんのロスを大回りするコーナーの立ち上がりで取り返すことができる。何はなくともトラクションなのだ。
これに比べると、空気圧を25%アップした時の変化は、体感的にちょっとシャープになるだけ。あるいは、サーキットを連続走行するような場合は熱ダレを抑制する効果が期待できるものの、ジムカーナではタイム短縮にはほとんど意味がない。
ジムカーナでいいタイムを出すには、駆動輪の空気圧は標準よりやや低めがベターっちゅうことだね。
タイヤの空気圧で実走行燃費はこれだけ変わる
タイヤのエアは放っておいたら1カ月あたり10%程度減っていくという。2カ月もエアのチェックをしないでいたら20%も減ってしまうということ。230kPa指定のアテンザなら180kPa程度になっているということ。
この状態で燃費にどのような影響が出るのか!? 実際に走ってみるとその差は明確!! 10%以上も燃費が悪化してしまった。
(写真、内容はすべて『ベストカー』本誌掲載時のものですが、必要に応じて注釈等を加えている場合があります)
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