新車販売が開始されたのは、今から30年以上前のことだが、現在もその人気は高い。パイクカートリオの末っ子として、奇抜な見た目に注目が集まるが、クルマの作り込みにもかなり力が入っていたことを知っているだろうか。フィガロの意外? な側面、真面目なクルマづくりを見ていこう。
文:佐々木 亘/画像:日産、ベストカーweb編集部
【画像ギャラリー】東京ヌーベルバーグ? フィガロが作った新しいクルマのカタチ(12枚)画像ギャラリーテーマは「新しい波」
時は1991年、バブル景気の真っただ中の東京は、アート・ファッション・映像・空間・食文化などが世界中から集まっていた。こうした文化は、互いに影響し合い、オリジナルの文化に生まれ変わっていく。これをフィガロは「東京ヌーベルバーグ」と呼んだ。
ヌーベルバーグ(nouvelle vague)はフランス語で、直訳すると「新しい波」。東京の文化をさりげなく日常に取り入れ、気負うことなく楽しむということになるだろう。フィガロは、こうした新しい文化を共有するためのクルマでもある。
今までのクルマという文化に、新しい風を送り込む。何者とも似ていない、唯一無二の存在は、四半世紀以上たった今でも新しい波を感じられる、価値あるクルマとなっている。
【画像ギャラリー】東京ヌーベルバーグ? フィガロが作った新しいクルマのカタチ(12枚)画像ギャラリーこんな見た目で意外と開放的だったりする
テレビの中のフィガロは、ほとんどがルーフを閉じた状態で走っているので、フィガロがオープンカーに変身するということを知らない人も多いのではないだろうか。実はフィガロはフルオープントップを採用しているのだ。
その作り込みは真面目そのもの。動作こそ手動なのだが、ボディラインを損なわないように幌が完全にトランクへ格納されるようになっている。
さらには、2重ロックや警報ブザーを備えることで、誤作動などで幌が開かない安全システムまで構築してあるのだ。そして複雑なオープントップ機構だが、リアウィンドウには熱線付きガラスを採用するなど、芸も細かい。
オープンカーではなく、オープントップとしているのもフィガロらしい。開放的な気分はそのままに、走行風の影響を受けにくいフルオープントップには、フィガロの真面目さが垣間見える。
【画像ギャラリー】東京ヌーベルバーグ? フィガロが作った新しいクルマのカタチ(12枚)画像ギャラリー環境のことやメンテナンスも考えたクルマづくり
省資源や質感・品質に対する気配りもできるのがフィガロだ。
フロントエプロンとフロントフェンダーには、軽量かつリサイクル可能な樹脂材料を採用し、外板にはワックスがけなどのメンテナンスを大幅に軽減するスーパーファインコーティング(フッ素樹脂塗装)を施した。
こんな成りをしている(と言っては失礼だが)のに、ユーザーや環境のことまで考えているというのが、フィガロの奥深さだ。奇抜な見た目とは裏腹に、中身は実直そのもの。
シートには本革を採用し、質感の高さを際立たせているのだが、カタログにはこんな注意書きもある。それは「フロントシートのヘッドレスト下部、リヤシート両サイドエッジ部分には、革同士の摩擦音を防止するため、合成皮革材を使用しています。」というものだ。
本革シートと書いてあるけど、ここは合皮です! と正しく説明してくるあたりは、フィガロというよりも日産の真面目さなのだろうか。顔に似合わず丁寧な説明をしてくるあたりは、好感度が高い。
新しいことへの挑戦は、奇抜さと丁寧さの両方が大切だとフィガロが教えてくれた。当時の日産にあった実直さは、今でも力になると思うのだが、今の日産はどうだろう。
パイクカー開発当時の思想は、令和の日産を強くしていくはず。日産再起のヒントは、パイクカーたちに隠されているのかもしれない。
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コメント
コメントの使い方いや当時売れなかった理由は、中身まで一回り昔のまま使い回しで、前世代な快適性と装備のうえ不具合まで出たからですよ?
当時を知る人が周りに居ないのなら、せめて当時のオーナーボイスは雑誌やネットで調べてください。それらが残ってる時代の車種なんですから