自動車の歴史が始まって以来、数多のモデルが世に送り出されてきたが、そのなかには残念ながら人々の記憶に残らなかった車種もある。今回は、そんな忘れられてしまった迷車(?)を発掘してみたい。
文/長谷川 敦、写真/ダイハツ、トヨタ、日産、マツダ、CarWp.com
【画像ギャラリー】個性はあるのに記憶に残らなかった!? クルマたち(19枚)画像ギャラリーそこまで地味ではなかったのにナゼか記憶が薄いクルマたち
●ホンダ トルネオ
1997年にホンダが販売を開始したトルネオは、6代目アコードを兄弟車に持つ4ドアセダン。
アコードとの違いはフロントグリルやフロント&リアウインカーの形状くらいで、駆動方式はFFと4WDをラインナップしていた。
トルネオがアコードと別のモデル扱いになったのは販売店の違いによるものであり、アコードは当時のホンダ クリオ店で販売され、トルネオはプリモ店とベルノ店の取り扱いだった。
注目はアコード同様に上級バージョンのユーロRが設定されていたこと。
220psを発生する2.2リッターエンジンを積むユーロRは、エアロパーツの装着によってさらにスポーティなルックスになった。
しかし、アコードとの差別化が難しかったのか、7代目アコードの登場を機に同車がホンダ全店での販売になり、それに吸収されるかたちでトルネオは1代限りのモデルになってしまった。
●トヨタ ヴェロッサ
トヨタが自社のチェイサー&クレスタの後継車種として2001年にリリースしたのが4ドアセダンのヴェロッサ。
9代目トヨタ マークIIと共通のプラットフォームを使用したヴェロッサは、イタリア語の「ヴェロ(真実)」と「ロッソ(赤)」の合成語である車名のイメージどおり、マークIIとは趣の異なるイタリアンなデザインのボディをまとっていた。
ヴェロッサは、保守的なイメージの強かった当時のトヨタ車としてはかなりアグレッシブな存在であり、見た目だけでなく、排気系のチューンによって、同じエンジンを積むマークIIとは違うエキゾーストノートを奏でて個性を主張した。
だが、この個性の強さが仇になったのか、販売成績はトヨタが望んだほどには伸びず、発売から3年を待たずして2004年4月にモデル寿命を終えている。
ヴェロッサはその登場時のインパクトにもかかわらず、販売期間の短さゆえに人々の記憶にあまり残らなかった不幸なモデルといえる。
【画像ギャラリー】個性はあるのに記憶に残らなかった!? クルマたち(19枚)画像ギャラリーアナタはパイクカーを覚えているか?
●日産 フィガロ
「パイク(pike)」とは槍などの尖った武器を意味する英語で、クルマで使われる「パイクカー」は、レトロ調だったり、反対に先鋭的だったりと“尖った”特徴のあるクルマを指している。
日産が1980年代末から行った戦略が同社の初代マーチをベースとしたパイクカーシリーズの販売であり、ここでとり上げるフィガロはその第3弾にあたる。
先に登場した日産パイクカーシリーズのBe-1やパオとは違って落ち着いた雰囲気の外見に仕上げられたフィガロは1991年に登場し、日本国内はもとより世界的にも注目を集めた。
実際、当時のバブル景気もあってフィガロは高評価を得たものの、スペシャルティカーということもあって生産台数は2万台と少なく、販売期間もほぼ1年と短い。
フィガロの販売終了からすでに30余年が経過した現在では、このクルマを知らない人も増えているはず。
ちなみに日本と同じ左側通行のイギリスでは、販売当時から人気があり、その人気は現在でも継続中なのだとか。
●トヨタ クラシック
パイクカーというと日産のシリーズがイメージされがちだが、実はトヨタにも、パイクカーと呼んでも問題はなさそうな尖ったクルマがあった。
そのクルマが1996年に発売されたクラシック。
クラシックはトヨタ初の量産型乗用車のトヨダ AA型乗用車をモチーフに製作されたモデルであり、AA型発売から60周年を記念したもの。
ベースモデルは5代目トヨタ ハイラックスだったが、クラシックの見た目からはベースモデルがまったくわからないほど手が入れられている。
記念モデルであることや100台限定の少量生産であることなどの理由により、販売当時からこのクラシックの存在を知る人は少なかった。
そして販売から長い時間が経った現在では、クラシックが「そんなクルマあったの?」と言われてしまうのも仕方ないかもしれない。
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