ガソリンスタンドの給油ノズルには、レギュラーガソリンの赤いノズルと軽油の緑色のノズル、ハイオクガソリン(無鉛プレミアム)の黄色のノズルの3つがあります。このノズルの彩色は法令(顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所に係る運用について)において規定されているため、同じ燃料を給油するなら、どこのガソリンスタンドであっても、同じ色のノズルを選んで給油をすることになります。
ただ、うっかり間違えてしまうという事例は少なくなく、JAFが2022年12月に公表した燃料の入れ間違えたことによる救援要請は、同年10月の1か月間で、全国で105件もあったそう。
はたして、燃料を入れ間違えたらクルマはどうなってしまうのか?? 燃料の入れ間違いが引き起こす影響と、その対処法についてご紹介します。
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_muhamad/写真:Adobe Stock、写真AC
【画像ギャラリー】うっかり間違えた!燃料入れ間違えたらどうなるのか(7枚)画像ギャラリーレギュラーとハイオクを間違えても大きな問題はない
冒頭でも触れましたが、ガソリンスタンドにはクルマ用の燃料として「レギュラーガソリン」と「ハイオクガソリン(無鉛プレミアム)」、「軽油」の3種が販売されています。このうち「ガソリン」とつく、レギュラーとハイオクはガソリンエンジン車の燃料です。
レギュラーとハイオクの違いは「オクタン価」の違いです。オクタン価とは、ガソリンのアンチノック性(発火のしにくさ)を数字に表したもので、日本のJIS規格では、レギュラーのオクタン価が89以上、ハイオクが96以上と定められており、数字が高いほうが発火しにくく、数値が低いと異常燃焼しやすくなります。一般的に、ハイオク指定は高性能車に多いですが、これはハイパワーなエンジンでは圧縮比を高くしてプラグの点火時期を遅らせているため、オクタン価が低いガソリンを使用すると発火が早くなってしまい、十分なパワーが出せなくなってしまうからです。
そのため、ハイオク指定のクルマにレギュラーガソリンをいれると、発火が早くなってしまうことで本来の性能を発揮することができなくなってしまう可能性はありますが、ほとんどの場合、ただちに故障するということはないようです。現代のエンジンではノックセンサーが搭載されており、ノッキング(ガソリンの異常燃焼のこと。エンジン内部からコツコツという音が発生する)を防止してくれるようになっているためです。
また、レギュラーの油種指定があるクルマにハイオクガソリンを入れても、基本的に問題はありません。レギュラー指定のエンジンは、オクタン価が低いためにハイオクよりノッキングしやすいレギュラーガソリンでも、ノッキングしないようにつくられているからです。
ただ、軽油とガソリンを間違えると、エンジンの故障も
もうひとつの「軽油」は、ディーゼルエンジン車の燃料です。軽油は、ガソリンとは燃焼特性や沸点が違い、使用するエンジンも、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンでは、そもそもの燃焼の仕組みが違います。
そのため、ディーゼルエンジン車にガソリンを入れてしまうと、エンジンに不具合が発生し、やがてエンジン停止に至ります。もともと入っていた軽油との比率にもよりますが、ディーゼルエンジン車は、軽油によって燃料噴射ポンプやノズルの潤滑も行っているため、これらが故障してしまう可能性もあり、そうなると修理代がかさむことにもなってしまいます。ガソリンエンジン車に軽油をいれてしまった場合も、エンジンに不具合が発生し、エンジン停止に至ります。
前述したレギュラーとハイオクは、入れ間違えても特に大きな問題には至りませんが、軽油とガソリンを間違えてしまうと、燃料の入れ替えや燃料配管の洗浄、燃料フィルターの交換が必要となるなど、対応が必要。特に、ディーゼルエンジン車にガソリンを入れてしまうと、修理代がかなりかかってしまう可能性があるのです。
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