ご存知清水草一氏が、今はなき自動車評論家の前澤義雄氏とクルマのデザインについて対話するかつての人気連載『デザイン水かけ論』。侃々諤々と議論を交わしたあの頃を回想しながら、清水草一氏が「豊潤系」自動車の中に宿る美について語る!!
※本稿は2025年2月のものです
文:清水草一/写真:トヨタ、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年3月26日号
西洋の美の原点は「ギリシャ美術」
西洋の美意識は、ミロのヴィーナス(ギリシャ美術)に源流を持つ。ギリシャ人が目指したのは、均整の取れた完全な肉体。クルマもそれに近い存在であるべきだとして、欧州では、有機的で豊潤な自動車デザインが多数生まれた。
別記事にて取り上げた「シンプル系」とは対極をなす、これら豊潤系デザインは、人間や肉食獣の肉体をモチーフにしたもので、その根源にはエロスがある!
日本車はこの分野は苦手だったが、近年ついに、欧州車に比肩するエロスの表現に成功しつつある。
たとえばクラウンスポーツのボディは、女性的な潤いのなかに、男性的な骨太さを感じさせる。フェンダーで乳房の膨らみを連想させつつ、その前後の面や窪みは、鍛えられた筋肉のように張っている。
【画像ギャラリー】クルマ……それは生命の輝き!! 豊潤なボディに魅力が溢れるトヨタ クラウンスポーツ(20枚)画像ギャラリー「クラウンスポーツ」対「プロサングエ」!!
ほぼ同時期に登場したこの2台、パッと見がよく似ている(よく見れば違うが)。公開されたのはクラウンスポーツが2カ月ほど先。逆だったら「フェラーリのマネ?」となったかも。
コメント
コメントの使い方プロサングエと各部の造形がこれほど近いのは面白いですね。とはいえプロサングエは観音開きな以上に開口部が極端に狭く、後席の使い辛さは桁違い。
使い勝手のいいプロサングエ、とまではいきませんが、フェンダー造形で負けてないクラウンスポーツ、見た目で選んで買うのもアリなくらいの一台ですね。
スタイル優先の使いづらい車には間違いない、クラウンとは名ばかり、とても高級感の無い車に仕上がってる、ハリアーと同等感だけに仕上がった飽きのくる仕上がり方で残念です