2022年9月に登場したマツダ CX-60。直6縦置きのFRを採用するSUVとあって期待を集めて登場したが、「乗り心地に難あり」という意見が多数。マツダは細かな調整を重ねてきたが、2025年2月、ついに改良版が登場。
※本稿は2025年3月のものです
文:松田秀士/写真:池之平昌信、マツダ
初出:『ベストカー』2025年4月10日号
懸案の乗り心地が大きく改善!
マツダの新世代ラージ商品群の中でもスポーティな走りが特徴のCX-60。この走りのベースとなっているのが、CX-60で新開発したエンジン縦置きのプラットフォームだ。
縦置きは重いトランスミッションやモーターがエンジン後方にマウントされるので、前後重量配分が最適化される。FFベースのSUVとはそこが大きく異なる。さらにフロント:Wウィッシュボーン式、リア:マルチリンク式とスポーツカー並みのサスペンションレイアウトを採用する。
2022年9月の国内販売から約2年半ぶりの商品改良となったわけだが、その一番の狙いは乗り心地だ。
ボク自身、デビュー当初に広島から防府工場往復の試乗会で走ったが、そのスポーティなハンドリングのトレードオフとして乗り心地があった。全体にバネが強く、瞬間的な突き上げがあったのだ。
では、今回の改良でどうなったのか?
走り始めて感じたのはハンドルが軽くなった。高速になるほど重くなるのは好ましいが、そう、特に駐車場など低速域でも重かったのだ。
電動パワステはシステムフリクションが大きいので重くなりがち。そこでハンドルを戻すトルクとスピードを自然にしたとのこと。中速域のスポーティ感も増したね。
狙いどおり後席の乗り心地は大幅向上
そして肝心の乗り心地はかなりよくなった。特にリアシートは劇的改善!
まずスプリングが前後ともに柔らかくなった。これによってストロークが大きくなるのでダンパーの減衰力を全体で見直し、フロントの伸び側を強くして、ソフトスプリングになっても操舵の安定感を確保している。
またステアリングのナックル締結ポイント変更によってバンプトーアウトを増やし……。えっ? 何のことかわからん? 要するに操舵が安定するのです。
で、リアはよりストロークさせるべくバンプストッパー(とっても硬いスポンジ)を短くしてスタビも外しました(CX-80と同じ)。
トルコンレスのATもスムーズさを増して、全体にとてもカンフォタブルに進化しています。
でも、ボクとしてはまだまだ乗り心地はよくなると予想しています。若干まだあるフロントの突き上げ感。もっとスプリングをソフトにしてもいいんじゃない!? と、勝手な注文を開発エンジニアに申し上げた。
でもね、マツダのハンドリングに対する情熱とはこういうものなのよ!
特別仕様車「XD-HYBRID Trekker」を追加!
よりアクティブなユーザーをターゲットにした特別仕様車「XD-HYBRID Trekker」を設定。限定カラーとしてジルコンサンドメタリックを用意する。パノラマサンルーフを標準装備。シートも専用カラーを採用。
●マツダ CX-60のここがポイント
・前後バネ、減衰バランスを変更。乗り心地を大幅に改善
・サスの変更に合わせてAWD&KPC&DSC制御を最適化
・トルコンATをより滑らかに
●マツダ CX-60 主要諸元表
・グレード:XD-HYBRID Premium Modern
・全長×全幅×全高:4740×1890×1685mm
・ホイールベース:2870mm
・最低地上高:180mm
・パワーユニット:直6ディーゼルターボ+モーター
・総排気量:3283cc
・最高出力:254ps/3750rpm
・最大トルク:56.1kgm/1500-2400rpm
・モーター:16.3ps/15.6kgm
・トランスミッション:8速AT
・WLTCモード燃費:20.9km/L
・車両価格:567万500円
コメント
コメントの使い方スプリングの変更はリアだけでは?
フロントはナックル締結ポイントと減衰力だけの変更のはずです
乗り心地とかシステムのバグとか異音とかいろいろありますが、自分にとっては冬に凍ったフロントガラスが30分暖気運転しても半分も溶けない事が致命的です
寒冷地で乗る車ではないです
何か勘違いして無いか?
酷いものを世に出しておいて、称賛されるなんてありえないよ!
この不具合だらけの車、皆さんどうする?
乗り心地、トランスミッションか ギクシャク、車両制御関係ソフトウェアもダメ!何故そうなったのか?机上理論とMDB偏重。デジタル世界で車を造ったから。(現にマツダは試作機、試作車を殆ど造っていない。)乗るのは人間だし、走るのは道路と言うアナログ世界。それを忘れ、購入者をテスターとしてしまったマツダの罪は重い。