日産が北米を中心に販売しているコンパクトセダン「セントラ」。日本ではかつて「サニー」として販売されていたモデルで、日本のサニーが2004年に販売終了となったあともモデルチェンジを幾度も行い、販売が継続されている北米日産のロングセラーモデルだ。中国でも「シルフィ」として販売されている。
そんなセントラに次世代モデルが登場するという。日産が2025年3月26日発表した商品の投入計画で明らかにしたもので、2025年後半にも発表となるようだ。
北米市場は、日産にとって主力市場でありながら、昨今は業績が悪化。「シルフィ」として販売されている中国市場でも業績は思わしくなく、この次世代セントラ(シルフィ)の出来次第では、北米と中国という二大市場で業績を回復させることができるかもしれない。はたして次世代セントラは日産を救うのか!?? 考えてみよう。
文:吉川賢一、立花義人/写真:NISSAN
【画像ギャラリー】日本にも導入してほしい!! 米国で2番目に売れている日産車「セントラ」の現行モデル(13枚)画像ギャラリー北米市場で高い評価を得ている現行セントラ
北米市場でも、いまや乗用車のメインストリームはクロスオーバーSUVだ。しかしながら、依然としてホンダ「シビック」やトヨタ「カローラ」などの、コンパクトで扱いやすく、価格が手頃で燃費がいい小型セダンには、いまも一定の需要がある。初めてのマイカーを購入する若年層や、都市部での実用車を求める層にとっては、魅力的な選択肢なのだ。
そんな北米市場で、現行モデルである8代目セントラ(B18型)はよく売れている。2019年の登場から5年が経過したが、2024年は北米市場で152,659台の販売を記録しており、日産車において、ローグに次ぐ2番目に売れたモデルとなった(前年比40%アップだったという)。
2025年2月に北米日産が発表したプレスリリースでも、米国で絶大な支持を集める媒体であるコンシューマーレポートの「2025年 年間トップ10」にセントラが選出されたことが紹介されている。セーフティシールド360°をはじめとする高度な安全技術を標準搭載し、快適な乗り心地や低燃費、広々としたインテリア、それらを21,590ドル~(日本円で約310万円)というコストパフォーマンスで提供していることが評価された。セントラはまた、ボディを擦りながら競い合う展開もある「セントラカップ」というワンメイクレースも北米では開催されている。
このように、セントラは北米日産の販売台数に大きく貢献しているモデルであり、だからこそ、次期型モデルは、日産として絶対に失敗ができないモデルなのだ。
次期セントラは、第3世代e-POWERと、先進支援技術でアップデートされる
そんな次期セントラだが、まず絶対外せないのが、パワートレインのハイブリッド化だ。現行セントラは2.0リッターのガソリンエンジン+CVTのみという潔いスペックだが、中国仕様(シルフィ)にはe-POWERも設定されている。
そのため、その気になれば次期型を待たずしても搭載することができるのだが、車両コストが上昇することに加えて、e-POWERは高速走行時の燃費がよくないなど、ネックになる点が多く、これまでセントラへのe-POWER投入は見送られていた。セントラが売れていてくれたから放置していた、というのが実情かもしれない。
ただ、日産が2025年2月に発表したターンアラウンドの取り組みの進捗のなかで明らかとなった「第三世代e-POWER」によって、これらは解消される見込みだ。第三世代e-POWERは、高速走行時の燃費は第二世代e-POWER比で15%改善、コストに関しても初代e-POWER比で20%削減できるとされており、日産のプレスリリースでは「米国では大幅な燃費改善を実現する」というコメントもある。このコメントはおそらく、次期セントラや新型ローグなどへの搭載に向けた牽制球なのだろう。
先進運転支援技術に関しても、「飛び道具」が設定される可能性がある。2024年4月10日、日産は次世代の運転支援技術(ProPILOT)を2027年度より市販車に搭載すると発表した。次世代のLiDARを活用する「緊急回避性能を飛躍的に向上させる運転支援技術」のことで、おそらく最初は次期スカイラインなどの高級車から投入を始めるだろうが、セレナにプロパイロット2.0を搭載したように、セントラのようなエントリークラスに投入されるとインパクトが大きく、セントラが北米日産にとって超重要なモデルであることを考えれば、次期セントラにも(当初は間に合わないものの)マイチェンなどのタイミングで搭載する可能性は十分にあるのではないだろうか。
そのうえで、最新のインフォテインメントシステムや、デジタルメータークラスター、大型タッチディスプレイなど、昨今の日産デザインの方程式に沿ったアップデートを行い、車両価格を現行同等の20,000~30,000ドルにまとめることができれば、次期セントラは、2世代続けてのヒットモデルとなることができるはずだ。低価格帯のカテゴリーでありながら、これだけの内容を盛り込むことができれば、若年層やテクノロジー志向の高いユーザーにも、大きなアピールとなるはずだ。
コメント
コメントの使い方e-POWERを採用し日本市場に導入すれば、
「プリウスのライバル」
として堅調な販売を期待出来ると思います。
営業者やタクシーベース車としての需要も少なくないと思います。
セダンタイプは1つは無いとね。
あとワゴンタイプもあるといいと思う。
今なら日産の営業も必死で売るだろうし。